So-net無料ブログ作成

奇術師の密室 [ミステリ(外国)]


奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)

奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: リチャード マシスン
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫



 奇術師のマックス・デラコートは、自宅の中にマジック・ルームという小部屋をしつらえていた。その部屋は、手品の小道具が満載され、様々な仕掛けが施された奇妙な空間。そこに集まったのは、マックスとその妻、妻の弟、マックスのマネージャー。彼らはそれぞれに秘密を抱え、お互いに陰謀を巡らせていた。やがて、悲劇の幕が切って落とされ、二転三転する奇妙な物語がはじまる。

 マジックルームという奇術の道具部屋を舞台にした密室劇。植物人間の状態にある奇術師の父親が語り手で、そこで巻き起こる事件の一部始終を目撃しているという設定。

 マジシャンの話というだけあって、ストーリーは、まるでマジックを見せられているかのような、騙しのテクニックのオンパレードだった。目の前で起きている出来事は、いつも見たまま通りの意味ではない。別の本当の意味が隠されていて、予想をくつがえされてしまう。この本のどんでん返しの連続には驚かされる。何が現実で何が幻想なのか分からなくなる、まさにイリュージョンという言葉がぴったりの内容。

 最初は、奇術師のマックスがマネージャーのハリーを呼びつけるところから始まる。マックスは、ハリーの抱えている秘密について話し始め、ハリーがマックスの奇術のタネを他所に売っているのではないかという疑惑について糾弾する。マックスはハリーに銃を突きつけるなどするので、最初はマックスがハリーを殺害する話なのかなと思っていると、話はそう単純ではない。事態は意外な方向へと転がっていく。

 出てくる登場人物たちは誰もが誰かを騙そうとしている。そして、騙そうとするうちに、自分が誰かに騙されていたことに気づく。このあたりのばかし合いが見もの。ハッタリの頭脳戦を見るようで面白かった。

 マジックルームという舞台も非常にうまく使われている。奇術の小道具がそのまま騙しのトリックに用いられているあたり、小道具の使い方がうまいなあと思った。出てくる小道具はどれも何かの意味があって、無駄にしないところがいい。

 奇術をモチーフにした奇妙奇天烈なミステリー。どんな方向に話が進むのか全く予想がつかない複雑な作品。次はどんな手品が見られるのだろうとわくわくさせられる、胸躍るミステリーだった。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。