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「人工光合成」とは何か [化学]





 化石燃料に代わる新燃料としてもっとも注目を集めているのは水素。

 水素を他の物質の合成することで、プラスチック製品を作ったり、ガソリンなどの化学製品を作ることができる。窒素と組み合わせて化学肥料の生産が可能となる。燃料電池にもなる。

 何より、水素を燃焼させても発生するのは水だけ。二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーだ。

 ところが、この水素というやつ、簡単に入手できるものではない。石油みたいにどこかにまとまって埋蔵されているわけではないのだ。水の電気分解などをすれば取り出すことはできるが、エネルギー源の水素を得るのに別のエネルギーを使うという本末転倒なことになってしまう。

 だから、水素を取り出すことができるのであれば、人類を救う夢の技術となるわけだが、その可能性が見え始めてきたらしい。「人工光合成」という技術によって。

 光合成は、植物が水と二酸化炭素を材料に、光のエネルギーによって酸素と炭水化物を作り出すものであるが、この仕組みを人工的に再現したものが「人工光合成」だという。

 材料は異なるが、人工光合成では水を原料にして、光のエネルギーを利用して水素と酸素を作り出すというしかけ。全くの夢物語ではなくて、実用化に向けて研究が進んでいるらしい。

 この話は本書を読むまで知らなかったので、単純に驚いた。人間のテクノロジーの進歩には本当に恐れ入るしかない。こういう本を読むと、現代社会で問題になっているようなことも、いずれテクノロジーが何でも解決してくれるんじゃないかとさえ思えてしまう。

 この本を読んで、人工光合成の話もよかったけれど、そもそも植物の光合成がこんな仕組みになっているのかというのも書かれていて、その部分が一番面白かった。光を使って酸素を作り出すってどういうことなんだろうと思っていたが、詳しく見ていくと相当複雑な仕組みになっている。こんな仕組みになっているのかと植物のすごさにまで感嘆させられる本だ。
タグ:井上晴夫
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ゼロからトースターを作ってみた結果 [化学]


ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

  • 作者: トーマス トウェイツ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/09/27
  • メディア: 文庫



 トースター作りに挑戦した筆者の奮闘記。

 トースターを作るといっても、単にパーツを組み合わせるだけではない。原材料を鉱山などから掘り起こすところからはじめて、材料をパーツの形に加工して、さらに組み立てるという気の遠くなるような作業に挑むという話である。

 トースターなどというと、パンをトーストするだけのシンプルな道具なのかと思っていたが、この本を読むと案外複雑なものであることがわかる。部品をばらすと400以上のパーツに分けられる。素材としてもいくつかの種類に分けられる。電気を送る銅線が必要だし、鋼鉄のパーツも必要だ。発熱体はニッケル。断熱材となるのはマイカ。ケースとなるのはプラスチックだ。

 それをゼロから作ってしまおうというのだから面白い。

 鋼鉄をどう手に入れるのか? プラスチックをどうやって入手するか? ニッケルをどう手に入れるのか? 入手した原料をどのように加工するのか? 筆者の悪戦苦闘ぶりが見もの。本書を読み進めるうちに、製品の原料というものがどのようなルートで入手されるのかということがだんだんと見えてくるし、原料をパーツの形にするのもかなりの労力が必要であることが分かってくる。

 鉄なんて身の回りにたくさんありそうなものなのに、いざ自分でパーツを作ろうとしたらこんなに大変なのかと驚かされる。鉄鉱石を手に入れること自体が大変だし、鉄鉱石から鉄を取り出すにも技術がいるのである。トースター1台とってみても、様々な科学技術の粋が集められているんだなあということが分かってきて、非常に社会勉強になる内容だ。

 読み終わった後に思わず身の回りの製品を見回してしまったが、こうした製品も世界中から集められて、様々な工程を経てできているんだなあとしみじみ感じさせられてしまった。
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