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賞味期限のウソ [料理]


賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: Kindle版



 日本では毎日、食品メーカーやスーパーマーケット、コンビニ、家庭などから大量に食品がゴミとして捨てられている。食品ロスなどと呼ばれていて、中にはまだ食べられるものも山ほど捨てられているんだそうだ。

 もったいないなと思うし、なんで食べられるものが捨てられてしまうのかと疑問に思えてくるけれど、これにはいくつかの事情があるらしい。

 まず、タイトルにもある賞味期限の問題。賞味期限と消費期限とは別物で、賞味期限というのはあくまでもおいしさの目安。あえて短めに設定されてもいる。賞味期限が過ぎたからといって、食べられなくなるわけではない。けれども、賞味期限を1日でも過ぎたからということで、捨てられてしまうことがある。

 また、食品業界には3分の1ルールという商慣習がある。賞味期限の3分の1を納品期限、3分の2を販売期限としている。納品期限を過ぎた食品は小売からメーカーに返品されてしまうし、販売期限を過ぎた食品は店頭から撤去されてしまう。

 欠品ペナルティというものもある。コンビニやスーパーマーケットなどの小売店は品揃えを気にするから、棚に空きがあると困る。だから、いつでも棚が埋まっている状態を保つように、メーカーに対して欠品ペナルティ(欠品が起きた時の金銭補償)を課している。メーカーはそのために大量に生産せざるを得なくなるので、食品ロスが増える。

 季節もの限定商品の問題もある。恵方巻き、土用の丑の日、クリスマスケーキ、バレンタインチョコなど、在庫が出た場合、イベントを一日でも過ぎると売れなくなってしまう。

 こういう様々な要因がからんで、食品ロスが大量に生まれ続けているのだ。

 かたや、食べ物が食べられなくて餓死した家族のニュースなどもある。ゴミにして捨てるくらいなら、食べ物に困っている人にあげればよいのになあと思うけれど、実際、フードバンクという取り組みが始まっているらしい。事情があって販売できないがまだ食べられる食品を、貧困家庭などに配布する仕組みだ。

 この本を読んでいると、食品ロスが生まれる理由や食品業界の様々な裏側が分かって興味深い。なにより、消費者も食品業界も、完全な安全性を追いかけるあまり、食品ロスが増えてしまっているんだなあということがよく分かる。安全性は大事だけれど、むやみに慎重すぎるのもどうなのだろう。仕組みを変えれば、安全性の範囲内でまだまだ食品ロスを抑えられそうに感じた。
タグ:井出留美
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「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。 [料理]


「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。

「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。

  • 作者: 河岸 宏和
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 外食産業の裏側について明かした本。

 筆者は、食品業界を渡り歩き、現在は食品の製造・衛生管理の仕事をしている人。ありとあらゆる食品を扱い、料理を見ただけで、どんな食材が使われていて、どんな調味料やどんな添加物が使われているのかを見抜いてしまう食品のプロ。そんな筆者が本書で書いているのは、外食産業の実態だ。

 もちろんお店にもよりけりで、丁寧に作ったおいしい料理を提供する良質なお店もたくさんあるのだが、中には儲けを最優先にするあまりに、料理の品質をかなり犠牲にしてしまうような残念なお店も頻出しているんだそう。

 本書は、そんな残念なお店が陥りがちな商売手法と、よいお店を見抜くための様々なポイントを教えてくれる。

 筆者が問題だと感じているお店は、コスト削減を追求するあまりに、料理やサービスの質を極端に下げている店のことだが、その手法はいろいろなお店で共通しているようだ。

 合理化・効率化を目指そうと思ったら、まず真っ先に削減対象となるのは、人件費である。外食産業のコストの半分が人件費といわれているから、ここを削ることができれば、利益を生み出すことができる。腕のいい職人さんを雇うにはそれなりのお金がかかるけれども、もっと安くアルバイト店員を雇うことができれば、人件費を抑えることができるのだ。ただし、もちろん料理に手間暇かけなくなるので、料理の質は低下する。

 それから、食材もコスト削減の対象となりうる。国産の食材を使うと高いので、アメリカや中国の安い食材を使ったり、安いニセモノ商品と置き換えたり、添加物でかさ上げしたりする。これまた利益にはなるけれども、味は格段に落ちてしまう。

 本書にはこうした利益優先型のお店の例がたくさん出てきて、どんな食材を使っているのかとか、流通ルートとか、どんな料理方法で作られているのかとか、お店の舞台裏が見えてくる内容。外食産業の様々なビジネス上のカラクリがわかって面白い。

 よいお店を見抜くポイントも書かれていて便利でもある。「お寿司屋に入ったら「イカ」を見ろ」「餃子は店で包んでいるお店がおいしい」「焼き鳥は「ねぎま」のある店で食べる」など、気をつけたいポイントが満載。「これは知らなかった~」ということばかりで、本当に勉強になった。おすすめのチェーン店のリストまで乗っていて、非常にお得。

 あまりグルメでないせいか、これまでジャンクフードもおいしく食べてしまっていたが、本書を読んで反省……。やはり安いものにはそれなりの理由があるのだ。もっと、食べるものに注意しないといかんな~と、あらたに気づかされる面白い一冊だった。
タグ:河岸宏和
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イベリコ豚を買いに [料理]


イベリコ豚を買いに

イベリコ豚を買いに

  • 作者: 野地 秩嘉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/03/31
  • メディア: 単行本



 スペインのイベリア半島で育てられている豚、イベリコ豚。そのお肉は、鮮やかなバラ色をしており、加熱しても白くならない。ドングリを食べて育つ豚で、お肉をかみしめればかみしめるほど、ナッツの香りが口の中に広がる。スペイン料理には欠かせない極上の素材……。

 本書は、このイベリコ豚について、筆者がスペインにまで取材して、そのおいしさの秘密に迫ったノンフィクション。イベリコ豚にまつわる様々な謎を解き明かすとともに、イベリコ豚についての多くの誤解をといていく。

 とくに興味深いのは、単に業者にインタビューするだけでなく、筆者自らスペインで豚を買いつけて、日本で販売までしているところ。筆者渾身の体験レポートになっていて、すごい行動力だなあと驚いた。

 何でそこまでするのかは、長い経緯があるのだが、筆者自らの実体験が書かれているので、非常に迫力がある。筆者の足跡をたどるうちに、読者はいつの間にやら、イベリコ豚の放牧される様子、屠殺の様子、精肉の技術、日本への販売ルート、商品化の難しさなどを知るようになる。

 単にイベリコ豚のおいしさを紹介しているだけでなくて、食肉業界全体を俯瞰して、食品業界の裏事情が垣間見えてくるところが一番面白かった。

 肉屋などについて、街でよく見かけても、今までたいして深く考えもしなかったけれど、肉を売るのも意外とたいへんなんだなあということが分かってくる。他社との競争が激しかったり、安い価格競争にさらされたり、在庫リスクがあったり、商品開発を工夫したり……。知られざる苦労があるのだ。

 イベリコ豚の話からはじまって、ビジネスの裏事情にまで話が及ぶ面白さ。イベリコ豚に限らず、食品業界全般について、いろいろ知ることができてためなる一冊。これから肉を食べるときには、まずこの本のことを思い出してしまいそうだ。
タグ:野地秩嘉
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俺のイタリアン、俺のフレンチ [料理]


俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

  • 作者: 坂本 孝
  • 出版社/メーカー: 商業界
  • 発売日: 2013/04/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 ミシュランの三ツ星フレンチレストランなどと聞くと、高級そうで、怖くてなかなか入れるものではない。三ツ星というくらいだから非常に美味しいのだろうけれども、自分のような味のわからない人間には、どこにでもあるようなリーズナブルなお店で十分。つい、そんな風に考えてしまう。

 だけど、一度くらいはどんな店なのか行ってみたいな~と思わなくもない。フォアグラのムース、ウニクリームのテリーヌ、仔羊のロースト牛フィレのロッシーニ……。名前だけからは想像がつかないメニューの数々。いったいどんな食べ物なのか? どんな世界が広がっているのか? 大いに気になるのもたしかだろう。

 だから、そんな庶民の夢をかなえてくれるお店があるというのを聞いて耳をそばだててしまった。そのお店では、ミシュランの三ツ星レストランで働いていたシェフたちが、腕によりをかけて料理をふるまってくれるそうだ。それも、非常に手頃な価格で。

 「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」というのがそのお店の名前。銀座や新橋などにお店を構えていて、その料理のおいしさと安心な値段設計に、うわさが口コミで広がっていって、今や大繁盛店になっているという。

 競争の激しい飲食店業界で、どのようにして勝ち残っていったのか? そして、安価に高級料理を提供できる理由はどこにあるのだろう?

 本書は、この「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」の創業者である坂本孝が、自ら立ち上げたお店の創業秘話を語った本。そのビジネスの秘密について赤裸々につづっている。

 会社が利益を上げるためによく行われる手法に、コスト削減というものがある。競争が激しくなって、経営が不安定になると、どうにかして経費を切り詰めようということになる。これは、飲食店業界も同じで、原価を安くするために材料を安価な冷凍食品にしたり、スタッフの数を減らしたりして、どうにかコストを削減し、やがてお店は効率重視の機械的な場所になっていく。しだいに、料理人たちの心もすさんでいって、料理人を目指したときの志はどこかへと消えていってしまう。

 筆者はこうした一般的な手法に疑問を感じていたようで、もっと料理に手間暇をかけ、また料理人を仲間として大事にするお店を目指したいと思ったそうだ。料理人が生きがいを持って働ける場所、そういうお店を創りたいと思ったのが、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」の背景にあるという。

 理想的な考えではあるけれども、現実には難しいんじゃないの? そんな疑問が生じてしまうが、筆者は、大胆な発想でこれを成し遂げてしまう。その発想の転換のようなアイデアは面白いし、実際にお店を立ち上げて事業を展開し、お客さんがどんどん入って繁盛していくまでの様子は、壮大な社会実験を見ているようでとても興味深かった。

 本書を読むと、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」の創業の裏事情が見られて面白いし、飲食店業界のあれこれも分かってかなり勉強になる。銀座、新橋、新宿、渋谷などと、同じ飲食店でも場所によって戦い方が異なるという話などはなるほどなあという感じだった。

 筆者の起業家精神にも驚かされる。七転八倒の起業人生、何度も失敗した経験なども語られている。理屈では筋が通っているビジネスモデルであっても、実際にやろうと思ったらなかなか実行できるものでもない。リスクをとって行動してしまう筆者のような生き方は、本当にすごいなあと尊敬してしまった。

 ちなみに、筆者は古書店のブックオフの創設者でもある。本書にはブックオフの創業秘話なども描かれていて、本好きとしては、そちらの話も非常に興味深かった。
タグ:坂本孝

食品の裏側 [料理]


食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

  • 作者: 安部 司
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 単行本



 食品添加物は、面倒な技術や工程を省いて品質を向上させることができる便利な存在。食品を長持ちさせたり、色を良く見せたり、味を良くしたり、コストを削減したり。添加物を使うことで、暗い土色のタラコがぷりぷりのタラコになったり、しわしわの大根が歯触りのよいたくあんになったりする。それはまさに魔法の粉とも言えるかもしれない。

 だが、その便利さの裏側に、食品添加物の持つ影の部分が存在していた。人体への害悪・毒性や人々の味覚への悪影響など……。本書は、食品添加物商社でトップセールスの販売を行い、食品添加物の神様と謳われた筆者が、会社を辞めて無添加食品の開発に携わるようになった顛末を語るとともに、添加物の舞台裏について明かした本である。

 添加物が様々なところで使われていることはなんとなくは分かっているつもりだったが、本書を読んで想像以上に幅広く用いられていることが分かって驚いた。コーヒーフレッシュは、ミルクではなく植物油と水と添加物だけでできている。白い粉だけから作り出せてしまうとんこつスープ。端肉に添加物を混ぜて作ったミートボールなどなど……。

 粉を使うだけで、本物そっくりの味を作り出せてしまう驚き。あらゆる食品の中に添加物が使われ、本物と偽物が入り混じっている状態にあることが分かる興味深い内容。

 今まで添加物に対してあまり意識せずに、おいしく食べていたけれど、本書のようなものを読んだらだんだん怖くなってくる。少なくとも買い物をするときに原材料のラベルくらいは読んでみようと思った。

 添加物がどんなところに、どのような形で用いられているのか、その裏事情を詳らかにした本。添加物の舞台裏について書いてはいるけれども危険性だけを述べたものではなくて、添加物が有用であるという光の部分についてもきちんと触れられていて、フェアな書き方がなされているのも印象的だった。
タグ:安部司