So-net無料ブログ作成
検索選択

ゼロから始める都市型狩猟採集生活 [社会]


ゼロから始める都市型狩猟採集生活 (角川文庫)

ゼロから始める都市型狩猟採集生活 (角川文庫)




 無職・無一文になって住む場所もない。そんな状況になったら人はどうやって生きていくのだろう?

 本書は東京で生活する路上生活者たちに取材して、その生活ぶりを明らかにした本である。
 
 お金も仕事もなかったら食事にもありつけなくて、飢え死にしてしまうんじゃないかなどと考えていたが、意外にも路上生活者は食事で困ることはないという。

 教会やNPOなどの支援団体が炊き出しを行っていて、毎日どこかしらで食事をすることができる。飲食店などが売れ残った弁当などを恵んでくれることもある。

 衣類を無料で配布しているところもあるし、シャワーを浴びることができるスポットもある。

 読んでいると、日本が飢え死にするような場所ではないということが分かってくる。外国などでは宗教施設が受け皿になっているという話を聞くけれども、日本でも様々な形での支援活動というのがあるようなのだ。

 金属やら電化製品などを集めて業者に売ったりして、生業を営んでいるような路上生活者もいるんだそうだ。こんな生活を送っているのかということが書かれていて、非常に興味深い内容である。

 こういう本を読むと、自分がいかにむやみにお金を使ってきたかも見えてくる気がした。たいして使いもしないものを買ったり、新製品が出たからといってまだ使えそうなものを捨ててしまったり。もっと路上生活者みたいに物を大事にした方がいいんじゃないかとか、いろいろ考えてしまう。

 社会がこんなふうになっているのかということを知ることができるだけでなく、生きるのに必要な物とは何か、お金とはどんなものなのかとか、生活の根本的なところを問い直させられる本だった。
タグ:坂口恭平
nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

最貧困女子 [社会]


最貧困女子 (幻冬舎新書)

最貧困女子 (幻冬舎新書)




 日本の貧困女性たちを筆者が直接取材して、貧困層と呼ばれる人々の生活の実態をあぶりだした本。

 複数の女性たちに直接インタビューして書いているので、非常に生々しくその生活の様子が描き出されていて迫力がある。

 貧困などというと、「お金がなくて困っている」という単純なイメージしかなかったけれど、この本を読むと、ひとくちに貧困層といっても、様々なタイプがあることが見えてくる。同じような低収入状態にあったとしても、その生活の困窮ぶりには違いがあるようだ。

 例えば、収入が少なくても、周囲との密なつながりを使って、お互いに物品をシェアして楽しく生活しているような女性がいる。収入の低さを他で補うことができているので、このような場合は、貧困といっても深刻なものではない。

 また、収入がなくても、生活保護を受けられれば、最低限の生活を送ることができるだろう。

 だが、こうした周囲の支援を一切受けられない状態にある人もいるのだそうだ。こうした人は、収入も乏しく、家族の支援も受けられず、公的扶助も得られず、非常に困った状態に置かれている。お金がないことだけが貧困なのではなくて、家族の支援が受けられないとか、頼る知人がいないとか、生活保護を受けるための知識もないとか、貧困にもいろいろなレベルがあるのである。

 こういう貧困状態になった人に対して、自己責任だという人もいるけれども、一概には言い切れないだろう。なかには、家族からひどい虐待を受けて、やむにやまれず小さいうちに家出をせざるを得なくなった人もいる。こういう人を誰も非難できないだろう。生まれた環境を自分で選ぶことはできないのだから。

 本書を一読して、貧困問題とか格差の問題というのは、難問なんだなあということをしみじみ感じた。単純にお金を支援すればいいという問題でもなくて、そもそも生活保護の受け取り方も分からない場合というのがあるのだ。教育とか家庭環境とか社会システムなどの全般的な問題になるので、こうすればいいよという単純な解決方法はないんじゃないだろうかと思った。
タグ:鈴木大介
nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「見たいテレビ」が今日もない [社会]


「見たいテレビ」が今日もない メディアの王様・崩壊の現場 (双葉新書)

「見たいテレビ」が今日もない メディアの王様・崩壊の現場 (双葉新書)

  • 作者: 長谷川 豊
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/05/21
  • メディア: 新書



 元フジテレビのアナウンサーが書いた、テレビ局の裏側。

 「笑っていいとも!」終了の舞台裏、NHKと民放の対立、人気アナウンサーの超過密スケジュール、ヤラセと演出の境界線など、興味深い話題がたくさん。フジテレビに対する筆者の恨み節も交じって、けっこう好き放題に書いてる。

 リーマンショック以降、不況のあおりを受けたり、ネットメディアの台頭もあったりして、テレビの広告収入は減少傾向にある。これまでのような潤沢な予算が使えないとなれば、当然、経費の削減をする必要が出てくる。アナウンサーの給与を削減するとか、費用のかかる海外ロケを避けるとか、ギャラの高い大物タレントの番組を終了させるとか、楽屋の弁当をなくすとか、様々なコスト削減の努力がなされているのだとか。

 激動の時代に入りつつあるテレビ業界の模索する姿を、内部の人間ならではのリアルな視点で描き出していて、大いに読みごたえがある一冊。

 たしかに、昔はよくテレビを見ていたものだが、最近はほとんど見なくなった。テレビ番組自体がつまらなくなったとは思わないけれど、今はパソコンもあればスマホもあれば電子書籍もある。他に面白いものがたくさんありすぎて、テレビを見ている時間がもったいないのだ。

 それに、テレビ番組は大多数の人間に向けて、広く浅くを狙っているから、自分のようなマニアックな人間には、生ぬるく感じてしまって見ていられなかったりもする。ときどき見るのは、NHKスペシャルと推理もののドラマくらいか。

 本書を読むと、視聴者の視聴スタイルの変化についても書かれていて、テレビの行く末について考えさせられる内容。ネット社会への対抗をどうしていくのか? テレビの強みであるお祭り的な一体感をどう生かしていくのか? テレビ業界がどのように変化を遂げていくのか気になった。
タグ:長谷川豊
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

再生可能エネルギーの真実 [社会]


再生可能エネルギーの真実

再生可能エネルギーの真実




 震災以降、エネルギー問題について議論がわいていて、再生可能エネルギーについても言及されることも多い。だが、実際のところ、日本で再生可能エネルギーを開発しようとした場合に、どの程度の現実的な可能性があるのだろう?

 本書は、風力・太陽光・地熱・水力・バイオマスのそれぞれについて、潜在的な導入可能量、開発可能な地域、開発に必要な期間、技術内容、海外の導入事例、具体的な企業の取り組みなどについて、詳細にまとめられている。再生可能エネルギーについてのいろいろな疑問に答えてくれる興味深い一冊だ。

 環境省、資源エネルギー庁、IPCC、IEA等の公的な機関や、三菱や東芝といった企業発表の資料などに基づいていて、データがふんだんに盛り込まれた資料価値の高い内容でもある。

 とくに、エネルギーの潜在的な可能性がどのくらいあるのか、数字で把握することができるところがよい。

 たとえば、地熱発電についてみると、現在の設備能力は0.5ギガワットだが、潜在的な導入可能量は14ギガワット。水力発電は、現在の設備能力が9.5ギガワットだが、潜在的な導入可能量は14ギガワット。太陽光発電は、パネルを設置できる住宅が1200万戸あり、うち1000戸に設置した場合の発電容量は35ギガワットになる。突出しているのは、風力発電で、潜在的な導入可能量は1900ギガワットもあるという。

 もちろん、潜在可能性があるからといって、丸々使えるわけではなくて、開発するのにはいくつものハードルがある。地熱資源の8割は自然公園内にあるし、風力発電の適地も農地・林地に多く、環境規制との衝突の問題がある。また、開発するのにはコストもかかるので、経済的に見合うのかという問題もある。太陽光・風力に関しては、天候の影響を受けやすく不安定なので、割り引いて考える必要もあるだろう。

 だが、潜在的な可能性の高さを見れば、今後の開発いかんによって、今よりも格段に大きな割合でエネルギーを供給していくことも考えられるのだ。実際に、外国では再生可能エネルギーの導入事例が年々増加傾向にあり、日本はこの分野では遅れていることも分かる。

 本書を読むと、再生可能エネルギーについて、その潜在的な可能性が具体的な数値とともに見えてくる。と同時に、環境やコストといった問題点についてもきっちりと触れられていて、エネルギー問題を考えるうえで必要な材料がずらりとそろっていて、大いに読みごたえがあった。
タグ:山家公雄

原発ホワイトアウト [社会]


原発ホワイトアウト

原発ホワイトアウト




 参院選投開票後の日本。電力会社の影響力を高めるべく、潤沢な資金を用いて政治に働きかける、関東電力の小島。原発を再稼働させるために、着々と巧妙な計画を進めていく、キャリア官僚の日村。脱原発を唱え、電力業界にひそむ問題点を暴き出そうとする、元アナウンサーの玉川。これら3人の人物の行動を主軸にして、原発の周囲では、さまざまな思惑を持った人物たちが入り乱れ、やがて大きなうねりとなって日本のエネルギー政策を動かし始める。

 現役キャリア官僚が、小説の体裁をとりながら、原子力発電を中心とする電力業界の現状について描き出した本。

 ストーリーが面白いというよりも、背景情報の部分に肝があって、社会派のノンフィクションに近い雰囲気がある。どこまで本当かはわからないし、誇張されているようなところもあるけれども、いかにもありそうな迫力の内容。電力業界の舞台裏を垣間見ることができて、とても勉強になった。

 政治と電力会社との癒着、電力会社社員のキャリア構造、電力会社と知事との攻防、原子力発電所の作業員の採用方法、原発デモ参加者に対する警察の捜査、電力自由化と発送電分離を骨抜きにする思惑などなど、原発をめぐる裏話がこれでもかと出てくる。こんなことが行われているのかと、驚くようなこともたくさん書かれていた。

 とくに、電気料金の総括原価方式の話は興味深い。電力料金がどのように決まるのかというときに、日本では、総括原価方式というやり方がとられていて、事業にかかる費用に一定の報酬率を乗じた額を、電力会社が自動的に回収できる仕組みになっているそうだ。電力の安定供給を行うためという理由でこの方式がとられているのだが、経費を浪費するほど報酬が増えるので、電力会社としてはコストを減らそうというインセンティブが働かなくなってしまう。

 本書では、この総括原価方式によって生みだされた豊富な利潤が、電力会社の支配力を強める資金源として、政治献金やマスコミ対応に用いられる様子が詳細に描き出されていて、電力会社がどんどん支配力を強めていく仕組みになっているんだなあと驚かされた。

 ニュースなどに出てくる、原子力に関するもろもろについて、詳細に知ることができる本。これからどういう風に政治が動いていくのかを見るのに、とても参考になる一冊になりそうだ。
タグ:若杉冽

日本の地下水が危ない [社会]


日本の地下水が危ない (幻冬舎新書)

日本の地下水が危ない (幻冬舎新書)




 世界中で水をめぐる争奪戦が起こっている。日本の水資源も例外ではなく、大企業や外国資本が地下水を利用しようと様々な動きを見せはじめている。本書は、主に日本の水資源の利用をめぐる攻防に焦点を当てて、様々な観点から水問題についてまとめた一冊。

 中国などがいい例だが、人口が増えたり経済が発展するにつれて、自国が保有している分だけでは国民の水資源利用のニーズを賄いきれなくなってくる。とくに、もともと水資源が不足していたり、環境汚染の問題のあったりする国であればなおさらだ。グローバル化の時代であるから、水不足に陥った国々は、自然と外国に目を向けるようになり、外国の水を利用してでも水不足を補おうとする。

 その結果起こるのは、国をまたいでの水をめぐる争奪戦。外国の資本が入ってきて、地下水を汲みあげるなどして、水資源を枯渇させたり、周囲の環境を悪化させたりする事例が後を絶たず、世界のあちこちで問題になっている。そして、この流れは日本にもやってきており、外国の企業が日本の森林を買収し、地下水を利用しようとしているという。

 日本の地下水を狙っているのは外国資本だけではない。震災以降、ペットボトル水や水の宅配サービスが活気づいており、水ビジネスを手がける飲料水メーカーなどの業者が地下水利用を加速させているのだ。

 本書を読むと、世界中で水をめぐってさまざまな動きが出ていることが分かり、水資源の動きを俯瞰することができて興味深い。日本の地下水が法整備の不十分なままで危機にされていることや、自治体が環境保全のためにルール作りを開始していることなどがうまくまとめられている。

 日本自体はこれからは人口は減っていくのだろうけれども、世界の人口は増え続けている。人口が増えて資源の足りなくなった世界の国々から見たら、日本の豊富な自然資源はうらやむべき宝のようなもの。どうにかこれを利用しようと、あの手この手で攻めてきてもおかしくない。グローバル化の影響というのは、自然資源の利用というところにまで及んできてしまうのだ。

 その割には、日本の法律は割とおおらかで、外国人でも土地を買うことができるし、土地所有者であれば自由に地下水を汲みあげることが可能である。とくに地下水保全のための厳密なルールがあるわけでもないというので、拍子抜けしてしまった。法整備が足りない分、自治体が条例を作って補っているようだが……。

 本書を読んでいて見えてきたのは、経済活性化と環境保護というふたつの利害が対立する図式である。水ビジネスなどは、最近伸びている分野で経済を活性化させる原動力になっているけれども、あまり行き過ぎると水資源を枯渇させてしまう危険性がある。どちらか一方だけの利益ばかりを考えるわけにも行かない、なかなか一筋縄ではいかない難しい問題なんだなあということがよく分かった。

 利害が対立する中で起こる、様々な紛争の事例や、問題を解決するための巧みな調整のアイデア。経済を活性化させつつ、環境を保全することはできるのだろうか? 日本の水資源利用の将来について考えさせられる面白い本だった。
タグ:橋本淳司

2100年、人口3分の1の日本 [社会]





 100年後の日本の未来像について書かれた本。

 国立社会保障・人口問題研究所は、出生率と死亡率共に中位の値をとると仮定して、日本の人口は、50年後の2055年には8993万人、100年後の2105年には4459万人にまで減少するだろうとの推計を発表している。

 本書は、こうした人口推計の根拠を示しながら日本の人口減少の原因を探るとともに、人口の減少が経済活動、都市空間、人間関係にどのような影響を与えるのかについて考察している。また、外国人の移民の受け入れについてその考えを述べている。

 単に人口が減少するだけではなく、年齢の分布が変わり、21世紀半ばには高齢者が人口に占める割合が40%を超えると予測されていることや、地理的分布にも変化が生じ、いくつもの集落が消滅し都市の集約化が進むとも見られているといった話は興味深い。

 未来のことなので、正確なことはわからないものの、客観的な根拠が示されていて説得力ある内容になっている。コンパクトシティや高齢者が住みやすい社会など、日本の未来の理想像のようなものも描かれ、進むべき方向性を指示してくれているところなどもよかった。

 人口が減少するということを恐怖の対象として感情的に見るのではなく、人口減少社会にどう適応すればよいのかという点について冷静に書かれていて、とても参考になる良書だった。
タグ:鬼頭宏