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新しい文章力の教室 [実用]





 文章の良し悪しはどのように決まるのだろう?

 文章を書く機会は多いのだが、いまだにどうやって書けばいいのかよく分からない。勘だけが頼りである。なんとなく、こんな風に書いたら読みやすいんじゃないかという手探り状態。

 問題なのは、自分の中に確固たる指針がないことだ。書くときのルールが決まっていないから、いちいち迷ってしまうのではないか。

 もっと自分の頭の中にルールを作っていきたいなと思って、読み始めたのがこの本「新しい文章力の教室」である。コミックナタリーの編集長が書いた文章の指南本。コミックナタリーでは、記者たちがこの本と同じ内容の研修を実際に受けてきたというから、かなり実践的といえるだろう。

 トピックごとに添削例が書かれていて、どういう風に書き直すと読みやすくなるのかが、一目瞭然で分かりやすい。

 「修飾語は長い順に」「体言止めは最小限に」「一般性のない言葉の使い方」「指示語は最小限に」「こと・ものは減らすべき」など、たくさんのルールが書かれている。こんなルールもあったのかと、知らないことも多かった。体言止めや、伝聞調(「~という」)、つなぎ文(「~が」「~で」)など、ついつい使いすぎてしまっていたので、自分の悪い癖にも気づかされた。

 早速いろいろなところで実践しはじめたところ、かなり使い勝手がいい。この本を読むと、文章の書き方が頭の中でルール化されるので、どうしたらいいのかという迷いがなくなる。こうすればいいんだよと、後ろから教えてくれるような感じ。

 こういう実用書は一生モノの道具になったりするから侮れない。もっとこういう本をたくさん読んで、自分を鍛えるべきなのかもしれない。
タグ:唐木元
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20歳の自分に受けさせたい文章講義 [実用]


20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)




 文章を書くのは難しい。

 仕事にしても趣味にしても、文章を書く機会はたくさんある。毎日何かしら書いているにもかかわらず、いまだに書き方のコツがよく分からない。日々悪戦苦闘、手探り状態である。

 普段から何も考えずに書き散らしていたのであるが、最近になってさすがに適当すぎるんじゃないかと反省して、文章の書き方を勉強してみることにした。手始めに読んでみたのがこの本、「20歳の自分に受けさせたい文章講義」だった。

 筆者は「嫌われる勇気」というベストセラーを出している人。経験豊富な実力派と言っていいだろう。実際に読んでみると、文章が読みやすいというだけでなく、よい文章を書くための心得がぎっしり詰まっている。こんなに濃密な内容が1000円足らずで読めるとはすごい。

 もっとも印象に残ったのは、「考えるために書きなさい」という記述。

 書くという作業は、考えていることを理路整然と書き落とすものではない。頭の中のもやもやとした気持ちを、文章にする過程で再構築して理解を深めていくことが、書くことなのだという。

 これはほんとにそうだと思う。実際に文章を書いていると、頭の中でばらばらに飛び交っている情報が整理されることがよくある。新たな発見をすることもある。頭の中の信号はくるくる回転していてとらえどころがないのだけれど、なぜかアウトプットすることで整理されるようなのだ。

 人と話すことで、悩みが晴れることがあるというのも同じような効用だろう。

 書いたり人に話したりという作業を経ないで、頭の中だけで考えるのはかなり無理があるんじゃないか。せっかくいい考えを思いついてもどこかに飛んで行ってしまう。飛び交う情報をとらえて離さないためには、どうしても書くという作業が必要なのだ。

 つまり、書くということは考えるということなのである。だから、よい文章はよく考え抜かれた結果ともいえる。本書を読んだ一番の収穫は、自分にはこの考えるという作業が圧倒的に不足していたことに気づかされたことかもしれない。
タグ:古賀史健
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調べる技術・書く技術 [実用]


調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)




 ノンフィクション作家がどのように取材をし、原稿を書いているのか、その舞台裏を紹介した本。

 最近ノンフィクションを読むことが多くなった。昔は小説ばかり読んでいたのだが、なぜか最近は小説を読むのがだんだんと億劫になってきて、ノンフィクションのようなものが好みになってきている。

 いくつかノンフィクションを読むうちに、だんたんとノンフィクションがどのように書かれているのかまで気になるようになってきた。構成の仕方のようなことが分かっていれば、さらにノンフィクションを読むのに理解が深まると思ったのだ。

 この本を読んでいて面白かったのは、最初に取材の仕方や文章の書き方を伝授した後に、実例として3つの短編ノンフィクションが掲載されているところだ。抜粋ではなくまるまる載っているので、文章の構成はこういう風にしているのかという点についても理解が深まる。5人の少女が飛び降り自殺を図った事件を追った短編などは、深い闇の中に分け入っていくような緊迫感があって、上質なミステリーを読んでいるような感覚になった。

 とくに共感したのは、あらゆるノンフィクションの基本は人物ノンフィクションであるという記述だ。これは自分でも常々そう思っていたので、とても合点がいった。

 結局のところ、もっとも面白い本というのは人物伝なんじゃないかと思う。人物とは関係なさそうな科学書のようなものでさえ、人気のあるものを読んでみると科学者の発見・発明物語になっていたりする。持論を展開するようなものであっても、声高にテーマを主張したものよりも、事実や人物の証言を重ねたもののほうがより説得力が感じられる。

 本書に出てくる3つの実例も、やはり中心人物を掘り下げていくような内容になっている。これは相当取材したんだなということがよく分かる書きぶりで、ぐいぐい引き込まれる。人物を掘り下げることで、背景にある社会の問題などがおのずと浮かび上がってくるしかけにもなっている。
 
 ノンフィクションというだけでなくて、文章を書く上での心構えのようなことを知ることができる本でかなり実際的だ。普段漫然と文章を読んだり書いたりしてきたから、この本に書いていることは今後どこかで役に立つのではないかと思っている。文章術のようなものはよくあるけれど、もっと根本的な「何を書くのか?」というところにまで視点が及んでいるところが参考になった。
タグ:野村進
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TVディレクターの演出術 [実用]





 テレビ東京のディレクターが書いた、演出術に関する本。

 筆者は「TVチャンピョン」「世界ナゼそこに? 日本人」などの番組を手がけるディレクター。自身がテレビ番組を作り続けるうちに学んだ、演出の極意について語っている。

 もともと筆者が勤務するテレビ東京というところは、NHKや他の民放各社に比べて、ディレクターにとっては苦労が避けられない局なんだそうだ。それは、圧倒的に予算が少ないから……。経費節約のためには、使えるスタッフの数を制限する必要があるし、タレントを出すことさえ難しかったりする。

 一般的にテレビ番組の制作は、①リサーチをして、②台本を作成して、③撮影して、④編集して、⑤仕上げをするという流れをたどる。本来であれば、これらの作業は大人数で分担して行うのがふつうだ。リサーチは専門のリサーチ会社に頼んだり、台本は構成作家が書いたり、撮影はカメラマンが行ったりする。だが、筆者はこれらの作業もすべて自分自身でこなす必要があったのだそうだ。

 少ない予算で面白い番組を作るためには、それなりの創意工夫が必要になってくる。本書を読むと、タレントを出さないでも視聴者を引き付けるような、そんな中身のある番組を作るために、TVマンが悪戦苦闘する様子を見ることができる。調査の段階から、自ら各所に足を運んで、面白いネタはないかとえんえん探し求めたり、ひとつのテーマを深く深く掘り下げていったりと、こんな苦労があるのかというのが分かって興味深かった。

 テレビはそんなに見るほうではないが、テレビ東京のものは確かに他局に比べて内容が濃くて面白いイメージがある。予算がないなりのたゆまぬ努力を積み重ねているから、一味違う番組ができるのかもしれないなあと、本書を読んでよくわかった。

 リサーチをして素材を探す、集まった素材の中から面白い要素を取捨選択する、選んだ素材を面白さが伝わるように効果的に並べる。こういった作業は、テレビ番組に限らず、文章を書いたり話をしたりするときにも共通して必要なものなんじゃないか。本書には、調査の効率的な進め方だったり、よい編集の仕方だったりのテクニックがふんだんに書かれているので、日常の場面に応用すれば、大いに役立ちそう。テレビ業界の裏話というだけでなく、実用的な知恵の詰まった、一般人にもけっこう使える本だと思った。
タグ:高橋弘樹
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なぜ、あなたの話はつまらないのか? [実用]


なぜ、あなたの話はつまらないのか?

なぜ、あなたの話はつまらないのか?




 テレビ番組でも映画でも本でも、「面白い」という言い方をよくしてしまうけれども、この「面白い」の正体はいったい何なのだろう? 具体的にどのようなものを「面白い」と言えるのだろう? 逆に「つまらない」話には何か理由があるのだろうか?

 本書は、この「面白い」「つまらない」の正体に迫った一冊である。

 筆者は、テレビ番組の構成作家。様々なテレビ番組を手がけたり、諸先輩から学ぶうちに、「面白さ」の秘密が身についていったそう。本書では、筆者が学び取った「面白さ」のノウハウを伝授してくれている。

 「面白い」「つまらない」を考えるときには、大事な二つの要素があるんだそうだ。それは、「話題」が適切かどうかと、話の「構成」がうまいかどうか。

 いくら楽しそうに語っていても、「内輪話」だったり「自慢話」ばかりでは、聞いているほうも退屈してしまう。その場に合った「話題」を取り上げる必要があって、誰でも共感できるような「話題」を探すことが重要になってくる。

 また、せっかく面白い「話題」を取り上げていても、話の組み立てが悪いと聞いているほうもピンとこなかったりする。先にオチを話してしまったり、ダラダラと話したりしては、話も盛り上がらなくなってしまう。話を効果的に伝えるための「構成」が重要なのだ。

 テレビのトーク番組などでも、この「話題」と「構成」という考えは常識になっていて、人気のあるテレビのトーク番組を見ると、このノウハウが生かされているのだとか。たとえば、「家族」や「グルメ」の話は、誰でも共感できるので頻繁に取り上げられているし、人気芸人などがトークをするときには、どうやって話を盛り上げようかと、さまざまなテクニックが試みられている。何気なく見ているテレビ番組の裏側に、こんな技法が隠れていたのかと、驚かされる内容だ。
 
 この本で明かされている「面白い」の秘密は、テレビ番組に限らず、小説や映画、漫画、日常会話など、あらゆる「面白さ」に対応しているといえるだろう。いろいろな「面白い」コンテンツに、本書の法則を当てはめてみると、たしかにその通りだなあというのが散見されて、腑に落ちた。

 具体的にどんな「話題」が適切なのか、どんなふうに「構成」すればいいのか、細かく具体例が書かれてあって、とても参考になる本。

 タイトルに偽りなし。自分の話がなぜつまらないのかがよく分かる、痛い一冊だった……。
タグ:美濃部達宏
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ツカむ!話術 [実用]


ツカむ! 話術 (角川oneテーマ21)

ツカむ! 話術 (角川oneテーマ21)




 人気お笑いコンビ「パックンマックン」の片割れ、パックンことパトリック・ハーランが、トーク術について語った本。

 筆者はテレビでよくとぼけたコメントをしたりしているけれども、もともとは名門ハーバード大学を卒業した秀才。現在では、東京工業大学で「コミュニケーションと国際関係」という講義を担当していて、日本の学生たちにアメリカ流のコミュニケーションスキルを伝授しているという。

 アメリカ人は、気さくに誰にでも話しかけたり、プレゼンや議論も上手なイメージがあるが、筆者によると、子供の頃からコミュニケーション力を鍛えるための教育を徹底的に受けるのだそうだ。小学校の授業なども一方的に先生が話をするのではなくて、子供同士で意見を言い合ったり反論したりと、議論の練習をする。大学の講義も、以前話題になった「サンデル教授の白熱教室」のような形で、問答型で行われることが多いという。

 もともとの性格だけでなく、話術というのもトレーニングで上達をする側面があって、本書はどうしたら上手くコミュニケーションをとることができるのか、その上達のためのヒントがたくさん書かれている。

 中でも面白かったのは、説得力を持たせるには、「エトス(人格的要素)」「パトス(感情的要素)」「ロゴス(言葉や論理的要素)」が大事という話。

 説得というと理屈が大事で、筋道が立っていることが必要なんじゃないかと考えがちだが、そうしたロジカルな要素だけではダメで、むしろ人はもっと感情的な要素だったり、発言者の実績だったりに影響を受けるものだという。だから、話の内容の論理性よりも、誰が話しているか(エトス)によって左右されることがあるし、国をまとめるために昔から政治家たちは恐怖心や愛国心を煽ったりしてきた(パトス)。

 人は理性や理屈によってのみ動くものではないという大前提が踏まえられていて、たしかにそうだよなあと思わされる。なんとなく感じてきたことをうまく言語化してくれた感じ。説得力を磨くには、話の内容もさることながら、エトスを高めるために実績や評価を磨いていく必要があるので、日々の積み重ねが大事かもしれない。

 ひとくちに「話術」といっても、コミュニケーションスキルが必要とされる場面は様々。雑談、ディベート、交渉、プレゼンなど、話をする状況にもバリエーションがある。本書の一番よかったところは、こうした場面ごとの話術の注意点が書かれていたこと。場面場面に適した話し方のコツがあることが分かって、これから自分が同じ状況になったら気をつけたいことがたくさん書かれていて、目からウロコがぽろぽろ落ちた。

 ジャーナリストの池上彰と筆者との対談が載っていて、最初はその対談が読みたくて本書を手に取ったのだが、本題の方も非常に面白い。アメリカの教育やコメディアンとしての経験からのコミュニケーション術が分析的に書かれているし、大統領やジョブズの話など、豊富な例が挙げられていて、読んでいて楽しめる内容。場面場面で迷ったらまずこの本を読み返そうと思えるくらい、よく書かれた本だなあと思った。
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書くことについて [実用]


書くことについて (小学館文庫)

書くことについて (小学館文庫)




 スティーヴン・キングによる文章作法の本。

 「言葉」をテーマに、キングがどのようにして文章を作り上げているのか、その舞台裏を語っている。

 文章作法などというと、実用的な淡々としたものを想像してしまうけれども、そこはキング。超一流の話術とオタク趣味全開で、退屈な文章作法の本とは一線を画した、娯楽性に富んだ読み物になっている。

 前半は、意表をついて、いきなりキングの自叙伝からはじまる。幼少期の話から始まって、高校時代の学生新聞を書いたときのエピソード、初めて小説が売れた時の話などが断片的に語られる。そうした数々のエピソードを通して、キングがどのようにして文章作法を学んでいったのか、どのようにして作家として身を立てていったのかが、よくできた小説のように生き生きと描かれているのだ。

 これを読むと、キングのような超一流の天才でも、身を削るような努力を重ねてきたことが分かる。学生の時に新聞記者から文章を添削してもらった時の話、様々な作家たちの文体を真似ていった話、金銭的に困窮している中でも文章をひたすら書き続けていたという話などなど……。苦労だらけの生活から一転、名作「キャリー」でスターダムに駆け上るという展開は、まるでサクセスストーリーを読むかのような爽快感すら感じた。

 もちろん、文章作法の技巧的な話もあとから出てくる。後半の小説作法の話は面白い。キングがどのようなことを考え、どのような点に注意しながら本を書いてきたのかが見えてきて、キングファンにはたまらない内容だ。

 特に興味深かったのは、ストーリーは化石を彫りおこす作業に似ているというくだり。小説家というのは、あらかじめプロットを組み立ててから書き始めるものだと思っていたが、キングの場合は違うらしい。登場人物と状況設定を決めた後は、プロットを作らずに、ひたすら状況の転がるまま書き続けるのだそうだ。

 こんな書き方をしているのはキングだけなのかもしれないが、予想のつかないサスペンスフルな物語はこうして生まれていったのかということが分かって、合点がいった。

 キングは文章技法について、「道具箱」に例えて説明している。語彙や文法、文章作法など、文章を書くための道具をそろえることが大事で、そのためのコツを伝授してくれている。

 このあたりの解説は、小説に限らず、あらゆる文章を書く上で参考になるだろう。副詞を削るべしとか、段落ごとに考える重要性とか、これから文章を書くときにはこの本に書かれていたことを肝に銘じたいと思った。

 自叙伝、道具箱の話、小説の話と、至れり尽くせりな内容。これ一冊読んだ後は、文章の書き方も、小説の読み方も一変してしまいそう。本好きにしか分からないのかもしれないが、読んでいて文章についていろいろと考えさせてくれる非常に楽しい本。文章を書く上で悩んだ時には、まずこの本を読み返したいと思った。
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伝え方が9割 [実用]


伝え方が9割

伝え方が9割




 コミュニケーション本もいろいろ読んでいるうちに、だんだんわかってきたのが、一口にコミュニケーションといっても、その目的はひとつではないということ。相手にお願いをする、感動を与える、情報を収集する、分かりやすく説明する、会話自体を楽しむなど、人と話す場面によって、話す目的は様々。そのときどきの状況で、人とコミュニケーションをする理由がちがってくる。

 場面場面で目的が異なるのだから、必要なコミュニケーション技術も場面によって異なってくる。情報を収集したいときには、「質問力」や「聞く力」が必要になる。相手に何かお願いをしたいときには、「説得力」「交渉術」が必要になる。分かりやすく説明したいときには、「伝える力」「プレゼン力」が必要になる。会話自体を楽しみたいときには、「雑談力」が必要だろう。コミュニケーション技術も、場面によって必要とされるテクニックが異なっていて、そのときどきで使い分けていかなければならないのだ。

 本書「伝え方が9割」もまた、コミュニケーション技術を向上させるための本であるが、中でも「相手に何かをお願いしたいとき」と「人に感動を与えたいとき」のテクニックについて書かれている。

 筆者はコピーライターで、数々の賞を受賞したり、音楽の作詞を手がけたりもしている人。コピーライターとして活躍する間に培ったコミュニケーションのコツを、惜しげもなく披露してくれている。

 筆者はもともとコミュニケーションが下手だったそうで、なるべく目立たないように生活したり、文章を書いたりすることも苦手だったり、自分を表現することに苦痛を感じていたのだとか。入社した会社でたまたまコピーライターの配属となったが、最初は仕事がままならず悩みぬく日々……。

 だが、あるときいろいろな名コピーを読み比べていた時に、人を感動させるコピーには共通点があることにはたと気づく。ひょっとしたら、人を感動させるということには、なにか法則性があるんじゃないか? 試行錯誤を続けるうちに、筆者はだんだんとコミュニケーション技術に目覚めていき、数々の賞を受賞する一流のコピーライターへと成長していったのだそう。

 伝え方にはシンプルな技術があるというのがモットーで、本書でもいくつかのテクニックが披露されている。映画のセリフ、大統領の演説、広告のコピー、音楽の作詞などを具体的に見ていきながら、それらの言葉がなぜ人をひきつけたり感動させたりするのかを探っていく。

 本書を読むと、有名なセリフやコピーなどの言葉には共通のテクニックが用いられていることが分かって、感動というものにも本当に法則性があることが見えてきて面白い。もちろん、広告だけでなく日常生活にも応用可能なもので、これからさっそく使ってみようと思えるものもちらほらあった。

 コピーライティングの分野というのはよく知らなかったので、こういういところに気を配っているのかということが伝わってきて面白かった。具体例も豊富で、技術もわかりやすくすぐに使えるように書かれている。これから広告を見るときにはどんな手法が使われているのか気になるだろうし、「人に何かをお願いしたい」「人を感動させたい」という場面に遭遇したときには、本書に書かれていたことが参考になりそうだと思った。
タグ:佐々木圭一

コミュニケイションのレッスン [実用]


コミュニケイションのレッスン

コミュニケイションのレッスン




 舞台演出家の鴻上尚史が、コミュニケイション向上のための方法について語った本。舞台演出で培ったコミュニケイションのノウハウがぎっしりと詰まっている。

 コミュニケイションなどというと、人によって得意不得意があるイメージがあるけれども、それは人格とは関係がない。野球サッカーなどの上手下手と同じように、練習すればするほど上達していくもの。コミュニケイションというのはあくまでも技術だというのが、筆者の考え。

 本書は、このコミュニケイションは技術であるという考えから出発して、どのようにコミュニケイション力を向上させることができるのか、その練習方法を伝授した本である。「聞く」「話す」「交渉する」という3つのパートに分けて、コミュニケイションのあり方について語っている。

 コミュニケイションとは情報だけでなく感情をやりとりするものである。人は分かり合えないのが普通の状態である。交渉は「語りたい思い」と「伝える技術」がセットになっているなどなど、気になるフレーズがちらほら。コミュニケイションについて新たな見方を教えてくれる。

 テクニック的なところも参考になるけれども、この本のもっとも特徴的で面白いのは、「世間」と「社会」とは異なるという考えが前提になっているところだろう。

 「世間」というのは、仕事仲間やクラスメイトなどの自分と利害・人間関係のあるグループ。「社会」というのは、群衆や一般人などの利害・人間関係のないグループのことをさしている。日本では、「世間」と「社会」という2つの全く異なる世界があって、人々はこの2つを無意識に使い分けているというのである。

 たとえば、電車の中で化粧をする女性がたまにいるけれども、他人の目を気にせずこういう行動がとれるのは、そこが「社会」であって、自分とは関わりのない世界と思っているから。日本人は「世間」で生きることには慣れているけれども、自分に関係のない「社会」の人と付き合うことには慣れていない。だから、こういった例が生まれてくる。

 この「世間」と「社会」という違いはそのままコミュニケイションにも関係していて、「世間」におけるコミュニケイションと「社会」におけるコミュニケイションの取り方は違うので、使い分けていく必要があるんだということも書かれている。

 自分は、身近な「世間」のグループにいるときに、「社会」に向けて使うような堅い言葉を使ってしまうことがよくある。そのため、「水臭いなあ」と言われることがこれまで多かったので、この本の「世間」と「社会」の話はかなり腑に落ちた。もっと「世間」の話し方を身につけないといけなかったのだと反省させられた。

 阿川佐和子の「聞く力」とか、池上彰の「伝える力」とか、雑談本ブームとか、こういう本がベストセラーになるのは、人々がコミュニケイションに漠然とした不安感を持っているからではないだろうか。

 かくいう自分も、コミュニケイション力などというと漠然としたイメージがあって、つかみどころがないような思いがこれまであったので、本書を読んでコミュニケイションとは何なのかということの細分化した説明を受けて、いろいろな引っ掛かりができたのはよかった。「世間」と「社会」という視点から語っているところなどは、類書などには見られない新鮮な見方であって、とても参考になる。

 我ながらまだまだコミュニケイション技術が不足しているので、本書を何度も読み返して、コミュニケイションのレベルアップを図っていきたい。プロの野球選手になる必要はないけれど、草野球が楽しめるレベルくらいにはなりたいものだ。
タグ:鴻上尚史

〈わかりやすさ〉の勉強法 [実用]


<わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)

<わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)




 ニュース解説でおなじみのジャーナリスト池上彰が、わかりやすい説明をするために気をつけていることについて書かれた本。分かりやすい説明だったり、情報収集のやり方だったりと、自身がテレビ解説で学んできた実践方法を明らかにしている。

 筆者によると、ある話を人にするときには2通りの説明のやり方があるのだそうだ。ひとつは、正確に何が起きたのかを伝える説明。もうひとつは、何がキモで面白いのかということを伝える説明。

 物事を正確に伝えることは必要なので、前者の説明の仕方は必要なのであるが、これだけでは聞いている方も何か物足りず、腑に落ちないものが残ってしまう。何が起こったのかだけではなく、そもそもなぜそのようなことが起こったのか、どうして問題になっているのかという、話のキモまで説明して初めて、「ああそうか!」と理解できるようになる。「そもそも、なぜ~なのか?」という疑問を伝えることが、筆者の解説のテーマになっているのだ。

 「そもそも何で検察審査会という組織が存在するのか?」「そもそもシー・シェパードって、どんな意味なの?」など、具体的な解説の例も挙げられていて、話のキモを伝えるということがどういうことなのかが実感として分かるようにも書かれている。自分ならどう応用するかななどと考えながら読むことができる実践の書とも言えるだろう。

 とくに興味深かったのは、後半の情報収集のやり方の話。筆者が情報をインプットするのにどのような手段を使っているのかが書かれている。新聞、雑誌、本、インターネットについて、どのような媒体を用いているのか、どのような点に注意をしているのか、情報集めの注意点について指南がなされていて、非常に参考になる内容だ。

 情報にも新聞やテレビなどの日々伝えられて流れてゆくフロー情報と、本や辞典などの保存されたストック情報があって、この2つを使い分けて、バランスよく取り込んでいるというところが印象的。フローとストックそれぞれのインプット方法の手引きも書かれていて、まねてみようと思うところがちらほら見つかった。

 相手に物事が伝わらない理由のひとつとして、伝える人間がきちんと伝えたい内容を理解していないからということも考えられるだろう。自分で理解していないことを人が聞いてわかるはずもないので、自分でも本書で学んだ情報収集のやり方をまねてみて、分かりやすい説明ができるように日々精進していきたいと思った。
タグ:池上彰