So-net無料ブログ作成

池上彰のやさしい経済学 [経済]


池上彰のやさしい経済学 (1) しくみがわかる (日経ビジネス人文庫)

池上彰のやさしい経済学 (1) しくみがわかる (日経ビジネス人文庫)

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/11/02
  • メディア: 文庫



 経済の基本がよく分かっていないなと思って、池上彰の解説書を読んでみた。経済の基本のキから教えてくれる初心者向けの本だ。

 この本によると、経済学というものは、有限な資源をどのようにして最適配分するかという学問のことらしい。お金のことだけでなく、モノや時間など有限なものをどのように有効活用していくのかということを考えるのが経済なのだ。

 有効活用のやり方は、需要と供給による調整ということになる。需要と供給のぶつかりあったところで有効資源の価値が決まる。

 昔はこれが放っておいたらうまくいくと思われていた。「神の見えざる手」というやつである。市場で自由競争に任せておけば、需要と供給のバランスが勝手に調整されて、経済はうまく回っていくものだと思われていた。

 だけど、この考えは正しくなかった。自由競争にはいろいろな弊害があることも分かってきた。例えば、競争が進むと強い会社だけが勝ち残って、弱小会社は潰れてしまう。1社だけの独占状態になってしまうということがある。そうなると、業界は生き残った1社の思いのまま。消費者は価格やサービスの面で、不利益を被ることになる。

 あるいは、何でもかんでも会社の自由にしてしまうと、会社はお金さえ儲かれば何をやってもいいということになる。汚染物質を川にたれ流そうが、大気にまき散らそうが、何のお咎めも受けない。会社の外の環境を汚染することも自由ということになってしまう。

 このように何でも自由に競争させると、市場の失敗と呼ばれる様々な問題点が出てきてしまうのだ。

 では逆に、自由な競争を止めて、国家が最適配分を考えたらどうだろう? 何でもかんでも国家が決めてしまう計画経済だ。

 これも社会主義の国々が試してみたけれど、競争がなくなって新しい製品が生まれにくくなって、経済は滞ってしまった。ソ連の崩壊など、社会主義がうまくいかないのは歴史を見ても明らかだろう。

 結局、何でもかんでも自由競争にするのも問題あるし、何でも国が介入するのも問題がある。ということで、適度に競争に任せて、適度に規制するという、中間の道を模索するというのが正しいやり方なんだろう。

 とはいえ、適度なやり方が簡単に分かれば苦労はない。世界中の経済学者が頭をひねっても次々に問題が起こるのだから、よほどの難問なのだろう。

 グローバル化の話も同じだろう。経済のニュースなどを見ていると、つい最近まではグローバル化の問題ということが盛んに言われてきた。あまりにも自由競争に任せすぎると、グローバル企業は低賃金・低コストの中国に工場を作るので、国内工場が閉鎖して失業者が増えてしまう。外国人労働者も流入するので、技術のない者はやはり失業し、格差社会になると。

 でも、最近になって各国で保護主義的な政策転換がなされるようになったら、今度は逆に保護主義は問題だとか言う人が出てきた。

 結局、何をやっても問題点があるようなのである。自由にするのか規制するのかということで、毎度毎度の綱の引っ張り合い。人々は昔からこんなことばかり続けてきたのではあるまいか。経済の話を聞いていると、最終的に結論が出ないのでなんだかモヤモヤする。実際にやってみないと分からない世界なんだろう。
タグ:池上彰
nice!(11)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

資本主義の終焉と歴史の危機 [経済]


資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

  • 作者: 水野 和夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: 新書



 16世紀以来、世界の基準になってきた資本主義であるが、もうそろそろ終焉に近づいているのではないかということが書かれている本。

 資本主義終焉の原因として筆者が指摘するのが、グローバリズムだ。

 企業が利益を上げて、国家が経済の成長を遂げるためには、資源を外国から安く調達して、商品を高く売る市場を開拓することが重要になる。周辺国から安く資源を買い叩くことができれば、安価なコストで製品を作り出すことができて、利潤を多く上げることができるし、商品を高く売ることのできる市場がたくさんあれば、やはり利益を伸ばすことができるのだ。

 だが、グローバリズムによって新興国が台頭し、どの国も豊かさを求めてこぞって近代化するようになった現代において、資源の価格は高騰し、外国から安価なコストで買い叩くということはできなくなってきた。また、モノやサービスを売るための市場も開拓し尽くされているといえる。

 先進国が豊かさを享受できたのも今は昔。一億総中流という形で、安定した成長を遂げることができたのも、昔は発展途上国に「貧困」を押し付けることができたから。経済格差が国境を超えていたから、先進国の人々は豊かに暮らすことができた。

 だが、今となってはそうはいかない。グローバル化によって、国境を超えた経済格差がなくなると、今度は経済格差を国内に取り込まざるを得なくなった。先進国であっても「富裕層」と「貧困」という格差が生じるようになりつつあるのだ。

 世界中のフロンティアは掘りつくされて、経済成長は難しくなって、国内の経済格差が広まっていく……。本書の5分の4くらいは、こういう身もふたもないことがえんえんと書かれていて、読んでいて暗澹たる気分になる本。いったい世界はどうなってしまうんだろうと、おろおろしてしまう。

 だが、最後の最後に、希望の光がかすかに見えてくる。筆者なりの経済成長に頼らない、資本主義に代わるシステムがないかという模索がはじまるのだ。

 まあ、昔みたいな右肩上がりの成長は難しいよねというのはなんとなく感じてはいたが、本書はそのあたりを細かく解説していて、勉強になった。これからどんな世界になっていくんだろうと考えた時に、実は日本は低成長を真っ先に続けてきた国として、世界の手本になりうるということも書かれていて、興味深かった。
タグ:水野和夫
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

スタバではグランデを買え! [経済]


スタバではグランデを買え!: 価格と生活の経済学 (ちくま文庫)

スタバではグランデを買え!: 価格と生活の経済学 (ちくま文庫)

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/01/10
  • メディア: 文庫



 同じペットボトルのお茶でも、スーパーで買うのと、自動販売機で買うのと、新幹線の中で買うのでは値段が違う。同じDVDでも、発売当初と発売から1年たってからでは値段が変わってくる。

 このように、全く同じ商品なのに、異なる値段になるということはよくあるけれども、一体どのようなメカニズムが働いているのだろう?

 本書は、この同じ商品が異なる値段で売られる謎について、「取引コスト」という観点から解き明かした本である。身近な生活の中の経済について、専門家の立場からわかりやすく解説してくれている。

 「取引コスト」というのは、聞きなれない言葉だが、商品の価格を考えるうえでは欠かすことのできない概念だという。商品の原価には、「取引コスト」という見えないコストがかかっているんだそうだ。

 たとえば、わざわざ遠くのショッピングモールにまで足を運ぶ手間や時間、チラシをあれこれ眺めて値段を比較する手間、経済的な携帯電話の料金プランを考える手間。こういう手間や時間が、「取引コスト」として値段に反映される。

 いろいろな手間や時間をかける人には安く売って、そんな手間暇かけたくない人には高く売る。わざわざスーパーまで足を運ぶ人には安い値段で、自販機で済ませる人には高い値段で買ってもらう。DVDを販売当初に買いたい人には高い値段で、1年待ってもいいという人には安い値段で買ってもらう。誰をターゲットにするかによって手間や時間の対価を考慮して、同じ商品でも異なる価格設定をすること。これが「取引コスト」の考え方。

 コストというと、原材料費や人件費、広告費などはすぐに思い浮かぶけれども、それ以外に「取引コスト」というものがあるというのは知らなかった。企業はこの「取引コスト」をうまく価格に反映させて、人によって値段を巧妙に使い分け、全体の売り上げを伸ばそうとしているのだ。そうした例がたくさん出てきて、世の中こんな風になっているのかというのが分かって面白かった。

 100円均一の仕組み、スタバの営業戦略、競合店が一か所に集中するわけ、格差社会是正の難しさ、医療費無料の罠など、興味深いトピックが続々。

 身近な生活から国家レベルの経済まで、世の中の仕組みが分かりやすく解説されていて、非常にためになる本。日常で何気なく疑問に思っていることを非常に明快にしてくれる本で、読んでいてすっきりした。

 物の価値を考えるうえでは、目に見える商品・サービスだけでなく、見えないコストまで考えないと、適正な値段は見えてこない。そういう経済的なものの見方が分かったのもよかった。
タグ:吉本佳生
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

日本の景気は賃金が決める [経済]


日本の景気は賃金が決める (講談社現代新書)

日本の景気は賃金が決める (講談社現代新書)

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/04/18
  • メディア: 新書



 日本経済の問題点を指摘するとともに、アベノミクスの是非について分析した本。

 安倍政権の経済政策「3本の矢」、金融緩和、公共事業拡大、成長戦略。このうち、金融緩和策は、デフレ脱却を狙ったもの。金融緩和によってお金の量を増やすことで、円安になり物価が上昇、企業の利益が増えて、やがて賃金も上がるということが言われている。

 計画通りにうまくいくかどうかが気になるところではあるが、筆者の見立てでは、成功するかしないかはなんともはっきり言えないのだそうだ。どこで物価上昇が起こるか不明確だったり、企業の賃金上昇につながるかが不明確であるためというのがその理由。

 過去のデータで見ると、金融緩和策によって賃金上昇につながった例もつながらなかった例もあるんだそうだ。

 たとえば、2001年~2006年にかけて金融緩和が行われた際には、日本からアメリカなどへの大規模なお金の流れが生まれ、これが原油などの資源市場に流れ込んで資源の高騰を招いたり、アメリカの住宅市場に流れ込んで住宅バブルを引き起こしたりした。

 このときは、資源の高騰によって輸入物価は上昇したけれども、日本の中小企業は物価上昇分を商品価格に転嫁できずに労働賃金引下げやリストラといった、人件費削減の方向で対処してしまったのだそう。金融緩和が賃金上昇にうまくつながらなかった例である。

 そもそも不況の原因は、消費が不足していたり貯蓄が過剰だったりすることによる。筆者は消費を活性化させるためには、非正規労働者や女性労働者などの所得格差の問題を是正することが重要だと指摘している。

 勤労世帯を所得別にグループ分けした場合に、高所得グループは賃金を消費に回す割合が低く、貯金に回ってしまう比率が高いのに対して、低所得グループは賃金を消費に回す割合が高いのだそうだ。つまり、低所得グループにお金を回したほうが経済全体の消費は活性化するという。筆者はそのための施策として、本書の中で、賃金格差のための具体的な案も紹介している。

 政府の経済政策については正直今までよく理解できてなかったのだが、本書を読むと分かりやすくそのメカニズムが解説されていて、経済オンチの自分にも納得できる内容だった。とくに、金融緩和によって、外国に資金が流れていってバブルが生まれるという話は、国際的なダイナミズムが感じられて面白い。

 金融政策のほかにも、公共事業の効果、成長を促すための政策についても丁寧に解説されていて、これからニュースを見る上で非常に参考になるような内容だ。

 とくによかったのは、経済効果について断言せずにフェアな書き方がされていたこと。筆者は闇雲に政府の政策を批判するのでもなく、逆に、必ずうまくいくと断言もしていない。経済は「ああすればこうなる」というように単純に行くものではなくて、そのときどきの状況によって変化する予測困難な複雑系の世界だと思うので、真摯な書き方がされていたのが好印象だった。
タグ:吉本佳生

評価と贈与の経済学 [経済]


評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)

評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)

  • 作者: 内田樹
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/02/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 思想家の内田樹と社会評論家の岡田斗司夫の対談本。

 ポスト資本主義社会における新しい「共同体」と「交易」の在り方について、様々な角度から語っている。

 いろいろな業界で、先が見えない不安感みたいなものが叫ばれ、従来のビジネスモデルが崩れていく時代。貨幣経済に限界があるのではないかという話もちらほら出てきている時代にあって、今後どんな世界がやってくるのかは、これから生きていくうえで、もっとも知りたいテーマのひとつといえるだろう。

 本書はまさに、そのような疑問に答えるような内容で、近未来の社会のあるべき姿、「これからどのような共同体を作っていけばよいのか?」「どんな経済システムができあがっていくのか?」といった点について、ふたりの考えが披露されている。

 キーワードとして出てくるのが、「拡張型家族」「評価経済・贈与経済」というもの。一人で生きていく時代は終わり、他人と共生していく時代になるんじゃないか、贈与をベースにした経済が出てくるんじゃないか、これから大事なのは人柄なんじゃないか、現代人はイワシ化しているんじゃないかなどなど、これまでの社会とはちがった形の新しい生き方について考えさせられる内容。

 これからどんな時代になるのだろうということを考えると、ついつい暗く考えてしまいがちだけれども、本書を読むと、お金はないかもしれないけれどもお金に代えがたいような豊かな世界がやってくるかもしれないという、意外にも明るい内容のことが書かれていて、ほっとさせるようなところもある。

 対談本なので整理されて書かれているわけではないが、読んでいてこれまで持っていた価値観をくつがえすような考えがいろいろと見つかった。これから生きていくうえで、新たな行動指針になったり、考え方の基盤になったりするような、羅針盤になりそうな本。

 ふたりはそれぞれ別の立場にあるので、お互いに意見の合うところ、違うところがあるのだが、議論が進むうちに、だんだんとこれからの社会の全体像が見えてくるところなどは面白い。一方的な議論ではなくて複数の視点から社会があれこれ論じられていて、対談本ならではの緊張感もあってよかった。

評価経済社会 [経済]


評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

  • 作者: 岡田 斗司夫
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 貨幣経済社会後の来るべき新たな社会である、評価経済社会について解説した本。

 お金の時代から評価の時代へ。貨幣の獲得のために競争する社会から、評価の獲得のために競争する社会へのシフトが、現代では起こりつつあるという。

 これまでの貨幣経済社会では、個人個人が貨幣的な利益を追及することで、全体的な社会が活性化され、経済の成長が促されていた。お金を持っているということが重要なステータスになり、上を目指したりお金を稼いだりして、いい暮らしをしたいというのが人々の重要な動機になっていた。

 だが、これからはお金というものが二義的な意味しか持たなくなるのではないか。誰もが情報を発信し、他人の評価が可視化されてしまう現代の情報社会において、いったん人気が下がってしまうと、お金がいくらあっても評価を回復するのは難しくなってしまう。逆に評価が高い人のところには、勝手に人々が集まってきて、その人を手助けするようになり、結果的にお金を持っているよりも楽しい経験ができたりする。お金を稼ぐことよりも、評価を稼ぐことが重要になってきているのではないかというのだ。

 本書は、こうした評価経済社会とはどんな概念なのか、どのような経緯で生まれ、評価経済社会がどのように普及しつつあるのか、評価経済社会においてどのような生き方をすればよいのかなどについて書かれている。

 最初に読んだときには、聞きなれない話で理解しきれなかった評価経済という概念であるが、最近ではモノを買わずにシェアする風潮だったり、NPOが活躍したりとお金やモノを追及する以外の事例も散見されるし、様々なサービスが無料で提供されるフリーミアムというのも増えてきた。だんだんと本書に書かれていることが実感として見えてきたかなあと考えている。

 フェイスブックがいい例だが、個人のデータというものがどんどんネット上に蓄積されるようになると、その人がどんな人間なのか個人の人生の足跡がすべて可視化されるようになってしまう。どんな人間なのかどんな評価を受けてきたのかが見えすぎてしまう現代の情報社会において、その対処法を学ぶことはこれから重要になってくるのではないか。

 本書は、そんな新たな社会のしくみと心構えを教えてくれる格好の本で、未来を垣間見るような興味深い本だと思う。
タグ:岡田斗司夫