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ライト兄弟 [伝記(外国)]


ライト兄弟: イノベーション・マインドの力

ライト兄弟: イノベーション・マインドの力

  • 作者: デヴィッド マカルー
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2017/05/18
  • メディア: 単行本



 いろいろな本がある中で、もっとも面白いのは人物伝だと思う。

 伝記を読んでいると、こんな生き方をした人がいるのかと、本当に驚かされることが多い。現代社会の基礎は過去の偉人たちによって作られているわけで、現代のルーツを知ることもできる。とにかくこんなに楽しくて、読みがいのあるものはない。

 最近読んだ「ライト兄弟」の本も、まさにそんな面白本のひとつだった。

 ライト兄弟は言わずと知れた、有人動力飛行のパイオニアだ。伝記本もすでにたくさん書かれているが、本書は中でもライト兄弟の人物像が丁寧に描かれている。ライト兄弟はこういう性格の人たちだったのかとか、どうして飛行機に興味を持つに至ったのかとか、どんな努力を繰り返したのかとか、目の前にライト兄弟が浮かび上がってくるかのような迫力があった。

 鳥が空を舞うことができるのは、揚力が働いているからだ。翼の上面を空気がすばやく流れることで、翼の上面にかかる圧力が下面よりも小さくなり、翼が押し上げられる。飛行機も同じ原理で空に浮かぶから、翼にかかる揚力が重要となる。そして、翼の上面の空気の流れは、翼の形状によって変わってくる。

 ライト兄弟も翼の形状には苦心したようだ。自家製の風洞装置を作って、模型を飛ばす実験を繰り返して、最適な翼の形状を割り出そうとしている。実際の飛行機での飛行実験を繰り返して、実地でも検証している。

 揚力だけではない。どうやって離発着するのか、どうやって推力を得るのかといったことにも、試行錯誤を繰り返した。

 本当に何もないところから始めたというのはすごいことである。翼の形状から、飛行機用のエンジンやプロペラ、操縦装置に至るまで、何もかも初物尽くしだった。にもかかわらず、たった二人で現代の飛行機の原型を作り上げてしまったのだ。

 ライト兄弟の飛行にかける並々ならぬ情熱には本当に頭が下がる。途中で飽きたりしないし、何度も生じる失敗にもめげない。飛行実験というのは、一歩間違えれば死が待っているという危険なものであるのに、彼らは決してやめようとしなかった。飛ぶことができるという保証はなにもないというのに。

 伝記本を読んでいると、フラストレーションが生まれることが多い。こんなにすごい人生を歩んだ人がいるのに、自分はなんと安穏な暮らしをしているのかと。本書もそうした意味では刺激になる本だった。この本を読むと、妙に元気が湧いてくるのだ。カンフル剤のような本だと言えるかもしれない。
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