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偽装死で別の人生を生きる [犯罪]


偽装死で別の人生を生きる

偽装死で別の人生を生きる

  • 作者: エリザベス グリーンウッド
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/05/15
  • メディア: 単行本



 死んだと思っていた人が実は生きていたーー。

 ミステリーではお馴染みの筋立てだ。もっとも有名なのは、シャーロック・ホームズだろう。モリアーティ教授と格闘してライヘンバッハの滝つぼに消えた名探偵。死んだと思いきや、本当は生きていたことが発覚する。

 「顔のない死体」というのもある。ミステリーではよく首なし死体とか顔をつぶされた死体というのが出てくる。たいていは別人の替え玉だったことが分かる。
 
 このようにフィクションには偽装死の例は事欠かない。では、現実に死んだと思わせるなんていうことが可能なのだろうか? 

 「偽装死で別の人生を生きる」を読むとそのあたりの実情がよく分かる。実際に偽装死をもくろんだ人々の顛末が集められているのだ。

 人はさまざまな理由で失踪したくなるものらしい。借金で首が回らなくなった。愛人ができて家庭生活が嫌になった。DV夫から逃れたかった。顧客の金を持ち逃げしたくなった。死んだふりをして生命保険をせしめたかった……。

 だが偽装死を実行するとなると、かなりハードルは高い。誰でも容易に思いつくのは、「溺死」だろう。船が転覆して死体が海に流されたと見せかける。たしかに筋は通っているが、死体が見つからないと警察は不審に思う。厳格な捜査の末に、あえなく捕まるということになる。

 溺死以外にも、飛行機が墜落したとか、火事に巻き込まれたとか、森で動物に襲われとか、いろいろ方法はあるだろう。いずれにしても死体が出てこない以上は、疑いを招くことにはなる。

 偽の死体を用意するという強者もいる。フィリピンくんだりでは、結構簡単に死体が手に入るものらしい。おまけに偽の葬儀や参列者も用意できる。本物そっくりの死亡診断書まで入手可能だ。お手軽に死んだふりができてしまうのだ。

 とはいえ、死の偽装に成功してもそこからの生活が難しい。別人として生きるには偽の身分証がいるし、新たな仕事を見つけるのも難しい。知人と会わないように、人目を避けなければならなくなる。

 本書を読むと、こうした死の偽装にまつわる信じられないようなエピソードが山ほど出てくる。計画を実行したものの、とんでもないへまをして捕まった話だとか、失踪人を世界の果てまで追いかける探偵の話とか、失踪した家族が生きていたと分かってショックを受ける家族の話とか。

 世の中、面白い人生を歩んでいる人がいるんだなあと驚かされた。本書に出てくるのは外国の事例なので、日本でも同じようなことがあるのだろうかと調べてみたくなった。
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