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点子ちゃんとアントン [児童書]


点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)

点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)

  • 作者: エーリヒ ケストナー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/09/18
  • メディア: 単行本



 子供が活躍する話というのは痛快である。何もできないと思われていた子供が、大人たちをぎゃふんと言わせる。子供の純真な目から見ると、大人たちの行動がおかしなものに見えてくる。

 「点子ちゃんとアントン」はまさにそんな話だった。大金持ちの娘である点子ちゃんと貧しいけれど勇敢な少年アントンの活躍を描いた作品。

 登場人物たちのキャラクターが魅力的なところがよい。とくに主人公の点子ちゃんというのがユニークな存在である。

 冒頭シーンで、部屋の壁に向かってマッチを売るという衝撃的な登場の仕方をする。空想好きの少女で、何にでも扮して芝居してしまう。運転手のふりをしたり、床屋のふりをしたりして、いちいち行動が面白い。

 かたや、アントンは母親が病気なので、家事をひとりで切り回し、夜になったら街道にたって靴紐を売って稼ぐ。貧しいけれど、善良で真面目な少年だ。

 このふたりがある事件に巻き込まれて解決するという物語。実は冒頭のマッチ売りの芝居が伏線になっていたり、登場人物たちの行動が思わぬところでつながったりと、コメディとしてとてもよくできたお話になっている。最後の最後には、あらゆる物事が収まるべきところに収まるというところもよい。

 子供たちの活躍によって、大人たちは気づかされる。自分たちのとってきた行動が、身勝手で愚かであったことを。本当に大事なことを忘れていたことを。

 いろいろな騒動があって面白おかしいのと同時に、じーんと感動させられたりもする。多様な面白さの詰まった良作だった。