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不死身の特攻兵 [伝記(日本)]


不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)

  • 作者: 鴻上 尚史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/11/15
  • メディア: 新書



 太平洋戦争中、陸軍参謀から特攻作戦を命じられて、9回出撃したが、命令に背いて生還を果たした人がいた。

 本書は、その元特攻隊員の佐々木友次氏へのインタビューを元に、詳細な経緯を伝えている。

 いくら戦争中で上官の命令が絶対とはいえ、特攻で体当たりというのは、あまりにも理不尽だという思いは、下士官の間にもあったそうだ。人命を無視した冷酷無比な作戦で、優秀な操縦士たちの命を無駄にすることになる。体当たりなどしても軍艦を撃沈できる公算は低く、何度も飛行を繰り返して爆弾を落とした方が、作戦としてもよほど合理的だろう。

 こんな戦略とも呼べないような作戦で命を落とすのはおかしいということで、命令に反抗する人たちも出てくる。体当たりをせずに、爆弾を落として軍艦を沈めるという正攻法で行く。爆弾を落としたら、帰還するのだ。

 だが、戦時中の命令は重い。命令に違反した佐々木氏は、上官から何度も怒鳴り散らされ、「死んでこい」と言われたそうだ。家族には既に戦死の報告がされ、天皇にも報告されているので、今さら生きて戻ることはできないという理屈。最後の方になると、佐々木氏を殺害する命令まで出たのだとか。

 そうした重圧に耐えながらも、どうにか生還を果たしたというのは凄い話である。自分だったら、反抗できずに死んでいっただろうなあと思う。

 いよいよ米軍上陸かという段階になって、今まで下士官たちに特攻を命令していた上官が、自分は真っ先に逃亡を図るというエピソードが出てきたり、読んでいて理不尽極まりなかった。
 
 特攻とまではいかないまでも、こういう社会や組織の理不尽というのは、今でも続いていることで、過去のこととして忘れるわけにはいかない。人間は誰でも社会や組織に属しているので、組織の中で生きるために、掟に従うのだけれど、掟がいつも正しいとは限らない。時代遅れの掟や、不合理な掟があったりする。こういう理不尽に反抗する勇気も大事だと、この本は教えてくれる。
タグ:鴻上尚史
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