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痛快!ローマ学 [世界史]


痛快!ローマ学

痛快!ローマ学

  • 作者: 塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本



 「ローマは一日にして成らず」という言葉の通り、ローマ帝国が繁栄を極めるまでには紆余曲折があったらしい。

 ローマ帝国も最初は小さな国に過ぎず、周りにも敵がたくさんいて、絶えず戦争が起こっていた。真っ先につぶされてしまってもおかしくない弱小国家だったのに、ヨーロッパ全域を支配してしまうような帝国にまで発展してしまった。これはどうしたわけなんだろう?

 「痛快!ローマ学」を読むと、そのあたりのいきさつが丁寧に描かれていて、とても勉強になる。キーポイントになるのは、「ローマ市民権」だ。

 普通の民族であれば、戦争で他の民族を侵略した場合に、征服された民族を殺してしまうとか奴隷にしてしまうとか殲滅してしまうことが多いだろう。ところが、ローマ帝国はやり方が違っていた。彼らは戦争に勝っても相手を殺してしまうのではなく、むしろ市民権を与えるということをしていた。投票権まで与えてしまうし、元老院の議席まで与えてしまった。大盤振る舞いともいえるし、一見すると損なんじゃないかと思えるやり方をしていたのだ。

 ところが、実はこれが理にかなっていた。市民権を与えることで、ローマ帝国は人口を増やして国を大きくしていくことができたし、市民権を与えられた側もローマ帝国に対して忠誠を誓うようになり結束力も生まれた。

 敵を増やすのではなく、「敗者をも同化する」というのがローマ帝国のモットー。帝国というとなんだか強権的なイメージがあったが、実は征服された側も利益を得て、Win-Winだったのかもしれない。

 とはいえ、もちろんローマ帝国も順風満帆に拡大していったわけではない。内部対立が生じたり、経済問題があったり、外部からの侵略があったりと、トラブル続きだった。いつつぶれてもおかしくないような危機の連続だったが、ローマ帝国のすごいところは、何度かあった失敗から学んで絶えず変化をして乗り切ったこと。

 最初は王政だったローマ帝国。ところが、悪政を行う王がいたり、市民との利害関係が高まったりして、内部の不満がくすぶって民主制に移行してしまう。元老院による支配が行われるようになるが、今度は貴族と平民との間の格差問題が生じてきて、平民の不満が噴出。元老院は平民にも開放され、平民中心の組織としてのローマという体制に移行する。だが、ローマ帝国がさらに巨大化すると、元老院による政治というものが非効率になっていき、スピードが求められるようになった。民主制から帝政への移行である。

 ローマ帝国の歴史を眺めてみると、完璧な政治システムなんて言うものはないんだということが分かってくる。そのときどきの状況にあった政治システムを次々に採用していって、絶えず変化していった。失敗に学んだり、環境を変化させることを厭わない柔軟さ。現代人にもローマ帝国に学ぶべき点は、大いにありそうだ。
 
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