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ゴールデンボーイ [ミステリ(外国)]


ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

  • 作者: スティーヴン キング
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1988/03/30
  • メディア: 文庫



 「ゴールデンボーイ」は、スティーヴン・キングの恐怖の四季シリーズの一遍。

 主人公の高校生トッド・ボウデンは、第二次大戦中の古い写真を手がかりに、同じ町に住む老人がナチの戦犯であると見抜く。戦争秘話に目がないトッドは、老人に近づいて無理矢理昔話を聞き出すが、次第にトッドと老人の間に奇妙な関係が築き上げられる。そして、トッドの人生は思いもよらない方向へとねじ曲がっていく……。

 「転落の夏」という副題がついている通り、主人公が真っ逆さまに転落していくダークな話だった。主人公の転落っぷりがひどすぎて、読んでいて辛くなるような話。

 前に一度読んだことがあったのだが、どんな筋だったかすっかり忘れていて、善玉の少年が悪玉の元ナチの老人にだんだんと追い詰められていくサスペンスのようなものだったかなあと勝手に思い込んでいた。でも、実際に読み返してみたら、そんなに単純な話ではなかった。

 むしろ、主人公の少年自体がナチの老人に感化されたのか、もともと素質があったのか、どんどん怪物みたいなものに変貌していくという話なのである。ナチの老人も凶暴さを取り戻していって、お互い似たもの同士みたいになっていく。

 キングが書いているので、とにかく話が面白くて読ませる。ナチの戦犯を追い詰める調査員が登場してスリリングだし、お互いに敵視している老人と少年が、自分たちの身を守るために外部に対して奇妙な共同戦線を張らなければならなくなるというのも皮肉が効いている。

 とはいえ、こんなにおぞましい話はないし、主人公の少年にはなにひとつ共感できないのは残念だった。正直なところ、キング作品の中ではあまり好きな話ではない。

 話がダークなのはいいのだけれど、主人公に感情移入できないと面白さが半減するなあ。そういう意味では、「春は希望の泉」と銘打たれた、同時併録の「刑務所のリタ・ヘイワ―ス」のほうがすがすがしくてよかった。
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