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残酷な王と悲しみの王妃 [世界史]


残酷な王と悲しみの王妃 (集英社文庫)

残酷な王と悲しみの王妃 (集英社文庫)




 最近興味を持っているのは、アン・ブーリン。歴史上の人物で、イギリス・テューダー朝の王ヘンリー8世の王妃だ。

 興味を持ったのは、壮絶な人生を歩んだ人ということもあるし、世界の歴史を変えてしまった人でもあるから。

 ヘンリー8世がアン・ブーリンと出会ったとき、すでにヘンリー8世にはキャサリンという王妃がいた。カトリック教会では離婚が認められていなかったので、本来であればアンは王妃になることはできず、愛人という立場に甘んじざるを得なかったはず。

 にもかかわらず、アンは王妃になることを切望し、ヘンリー8世はやむなく教皇にキャサリンとの婚姻の無効を訴えることになる。

 結果は不認可。教皇は婚姻の無効を認めなかった。ヘンリー8世は激怒し、カトリック教会との訣別を決意する。そして、キャサリン王妃との離婚を認める独自の教会を作り上げてしまう。これがイギリス国教会となる。

 ひとりの女性の熱望が、イギリスの宗教を改革してしまった瞬間である。

 しかも、アンが産んだ女児はのちにエリザベス1世として世界に君臨することになるのだから、アン・ブーリンの世界史に与えた影響は相当なものだろう。ひとりの人間が歴史の流れを変えてしまうということが本当にあるのだ。

 王妃になってアン・ブーリンが幸せになったかというと、そうでもない。なにしろ、ヘンリー8世は気まぐれな暴君。ヘンリー8世はアン・ブーリンが男児を生まなかったことに怒り、姦通の罪を着せてアンの首をはねてしまう。

 「残酷な王と悲しみの王妃」という本には、こうしたアン・ブーリンに関する逸話が豊富に書かれていた。

 プリンセスなどというと、華やかなイメージがある。おとぎ話では、王子様と結婚してめでたしめでたしとなるのが普通だ。だが、アン・ブーリンの例にも見られるように、現実の王妃の地位というのはそんなに生やさしいものではなかったようだ。

 政略結婚に利用されたり、暴君の犠牲になったり、ときには暗殺の対象にまでなってしまう。おとぎ話の華やかなイメージとは真逆の、ドロドロした世界が広がっているのだ。

 本書にはアン・ブーリンのほかにも、エリザベス1世と争うことになるメアリー・ステュアートや、ヘンリー8世をも遙かにしのぐ暴君イヴァン雷帝の7人の妻についても書かれている。王妃という立場が華やかであこがれの的である反面、いかに危ういものであったかが分かる、興味深い本だった。
タグ:中野京子
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