史上最強の哲学入門/東洋の哲人たち [人文]

史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (河出文庫 や 33-2)
- 作者: 飲茶
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/10/05
- メディア: 文庫
つらいなあとか苦しいなあとか、人間は日々悩む生き物である。あまりに悩みすぎて苦しくなったとき、思わず死んでしまいたくなってしまったとき、どうすればよいのだろう?
ひとつには、理屈にすがるというやり方がある。ロジカルシンキングというか、問題点を掘り下げていって、原因を解決しようという試みだ。
でも、このやり方には限界がある。理屈で原因を探ることができるかもしれないが、原因が分かっても問題解決が現実的に不可能なことだって多々あるのだ。いくら理論武装したからといって、不安から逃れることはできはしない。
また、神にすがるという人もいるだろう。しかし、日本人は無神論者が多くて、神にすがることも難しいかもしれない。
こんなときに有効なのは、もしかしたら東洋哲学の考え方かもしれない。東洋の哲学者たちは古代より、苦しみとはなにか、この世界とは何かということについて考えてきた。しかも、理屈をこねくり回すだけではよしとせず、体感を重視してきた。真理に到達することで、あらゆる苦しみから解放されるという実践的な教えなのだ。
じゃあ、東洋哲学とは具体的にどんな教えなのかということは、本書を読むとよく分かる。
今までこの手の解説本は何冊か読んできたが、こんなに面白いものは初めて読んだ。難解な東洋哲学について、非常に分かりやすく解説してくれている。老子の言うタオって何なんだろうとか、念仏ってなんで唱えるんだろうとか、古代インドではなんで苦行なんてものをやっていたんだろうとか、前から気になっていたモヤモヤがこの本を読んでようやっと晴れた。
とはいえ、この本を読んだからと言って、東洋哲学の真理に達することができるわけではもちろんない。東洋哲学の真理は理屈や知識で理解するものではなく、あくまでも体感が必要だからだ。実際に読んでみて、東洋哲学が何をゴールとしているのかを頭でイメージすることはできたが、実感するまでには至らなかった。真理に到達するためには、やはり修業が必要なのだろう。
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