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サピエンス全史 [世界史]


サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 単行本



 猿にしても人間にしても、群れの大きさには限界があるという。

 猿の場合は100頭くらい、人間でも150人くらいが集団としての限界の大きさなのだ。それ以上の数になると、お互いのことを覚えることができず、親密に知り合ったり噂話をしたりということが難しくなる。

 では、人間たちはどのようにして都市を築いて、数万人という規模の人間を束ねることができたのだろう? 名前も知らない同士がどのようにまとまることができたのだろう?

 本書「サピエンス全史」に書かれているその答えは、「虚構」にある。赤の他人同士がまとまるためには、共通して守らなければならない掟が必要になる。人間たちは、文化、法律、金、国家といった「虚構」の掟を作り上げていった。

 たとえば、自然界にお金という概念があるわけではない。だが、みんながお金という「虚構」の存在を信じることで、経済活動が可能となった。共通の価値観をもつことで、集団として維持することができた。

 当然、このような掟は「虚構」なのであるから、絶対的なものではない。地域によってもまちまちだし、時代によってもかなり内容が変わっていくものだ。

 だが、「虚構」の掟に違反した者には集団から厳しい処罰が下されることになる。そうやって、強制的に「虚構」の世界を厳守させ、集団としての安全は守られていった。人類の文明は徐々に複雑なものとなり、集団の数も膨大なものとなっていく。

 本書を読むと、国家も経済も法律も文化といった現代社会を成り立たせている物事は、みんなが「虚構」の世界を信じることで成り立っているんだなあということに気づかされる。

 こういうふうに生きたほうがいいとか、こういう価値観が正しいということが自然界で決まっているわけではないということである。人はお互いにああすべきこうすべきと論争するけれども、実はそういう価値観というのも時代によって移り変わっていくものだし、誰かが作った「虚構」に従っているにすぎない。

 世界は結局のところ「虚構」でできているんだなどと言われると、なんだか身も蓋もないというか虚しくなるけれど、世間の価値観をなんでも絶対視する必要はないし、何が正しいというものでもないということが分かって、少しは気が楽になった。

 なお、本書で一番よかったのは、文明の発展と幸福の関係についても書かれてあったところ。文明が発達しても幸福度が増すわけではないというのは、確かにそうだなあと思った。
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