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海賊船ハンター [世界史]


海賊船ハンター ―カリブ海に沈む「伝説」を探せ―

海賊船ハンター ―カリブ海に沈む「伝説」を探せ―

  • 作者: ロバート・カーソン
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2016/08/05
  • メディア: 単行本



 17世紀、ロンドンとジャマイカを行き来して、船荷を運ぶ仕事をしていたバニスターというイギリス人の船長がいた。彼はたいへん評判のいい船乗りだったが、ある日突然ゴールデン・フリース(金の羊毛)号という帆船を乗っ取り、海賊行為に手を染め始めてしまう。

 彼はカリブ海のあちこちに出没しては、略奪を繰り返し、イギリス王室のお尋ね者になっていった。イギリス海軍はバニスターをとらえようと追跡し、居所を突き止めたものの、バニスターは大砲とマスケット銃を手にして反撃。イギリス海軍を叩きのめしてしまう。

 暗躍を続けるバニスターだったが、最後の時がとうとうやってきた。再度イギリス海軍と戦闘状態になり、ゴールデン・フリース号は炎上、バニスターも死を迎えることになった……。

 それから300年以上も経った現代。沈没船の引き上げを夢見るトレジャーハンターたちが、ゴールデン・フリース号がドミニカ共和国のサマナ湾に沈没しているという話を聞きつける。彼らは私財を投げ打って、わずかな手がかりに悪戦苦闘しながら海賊船の沈没場所を探し始める。

 海賊というと、イギリスも影ながら支援をしていた歴史があると聞いたことがある。当時はスペインと交戦状態にあったから、海賊によるスペイン船からの略奪品は、イギリスにとってもよい収入源となったのだ。

 だが、スペインと平和条約を結ぶようになると、海賊たちの残虐行為は目に余るようになってきた。反海賊行為の法律が制定され、海賊たちへの取り締まりも厳しくなる。バニスターが海賊行為を行っていたのもこの頃で、イギリス海軍の目の敵になっていったらしい。本書を読むと、このあたりのイギリスと海賊たちの歴史が詳細に描かれていて、けっこう歴史の勉強になる。

 トレジャーハンティングというと一獲千金のイメージがあるけれど、実際に沈没船を発見するのは容易なことではない。宝のありかを示した、Xマークのついた地図が残されているなんていうことはないのだ。

 運まかせで広い海洋を探し回るわけにはいかないから、トレジャーハンターたちは、歴史をひもといて、自分たちで沈没個所を探さなければならない。古い文書を読み漁り、沈没したときの記録を探し、ときには船員たちの気持ちになって航海ルートを推測しなければならない。

 本書でも、わずかな手がかりからどのように海賊の沈没場所を特定していくのか、というところがトレジャーハンターたちの最大の障壁であったし、一番の読みどころでもあった。まさに歴史ミステリーという感じのスリルがある。

 トレジャーハンターについても、なにか夢を追いかける荒くれものというイメージがあったが、本書を読んで教養のある人たちなんだなあと感心させられた。海賊のことならなんでも知っているという海賊オタクと言ってもいい。

 トレジャーハンターたちが実際にどうやって沈没船を探すのかとか、資金的なことはどうしているのかとか、手に入れた財宝の権利は誰が手にするのかとか、現実的なところも丁寧に描かれていて面白かった。
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