So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

陰謀の日 [ミステリ(外国)]


陰謀の日(上)

陰謀の日(上)

  • 作者: シドニィ シェルダン
  • 出版社/メーカー: アカデミー出版
  • 発売日: 1999/02/01
  • メディア: 新書



 最近はまっているシドニイ・シェルダンの本。今回は、CIAが主人公のスリラー作品だ。

 CIAの職員ロバート・ベラミーに、奇妙な任務が与えられる。それは、スイスのアルプス山中で観光バスに乗っていた男女の身元を突き止めるというもの。

 名前はおろか、外見すらわからない人間をどうやって探せばよいのか? 一見すると不可能に思える任務に挑戦することになったロバートは、どうにか手がかりを見つけて乗客たちを突き止め始める。

 謎の任務をこなしていくロバートだったが、やがて乗客たちが謎の飛行物体を目撃していた事実を知る。これはUFOを目撃した人々を次々に抹殺する計画なのか……。陰謀に巻き込まれてしまったロバートは、国家から追われる身となりながら、真相をつきとめようとする。

 上巻は乗客たちの居場所を探っていくミステリー。手がかりゼロの状態から、どうやって乗客たちを探し出していくのかが見もの。中にはこんな探し方があったかという盲点を突くようなものもあって、なかなか読みごたえがある。

 下巻は打って変わって、ハラハラドキドキのサスペンスになる。世界中の諜報部員から追われて、逃げ回る羽目に。あの手この手を使って追手を煙に巻いていく感じがとてもいい。さすがシドニイ・シェルダンで、あらゆるトリックに精通しているなあと読んでいて楽しかった。

 続けざまにシドニイ・シェルダンを読んで、だんだん作風が見えてきたのだが、とにかく登場人物たちの掘り下げ方がすごい。出てくる登場人物ごとに、生まれだったり経歴だったりといったバックストーリーが語られるのだ。

 今回でいうと、殺され役の10人の目撃者たちそれぞれの人生がいちいち語られていたりして、脇役にまできちんとドラマを持たせているところが面白い。普通の作家ならこんな書き方はしないんじゃないか。

 最近、シドニイ・シェルダンを読みすぎたせいか、いろいろ影響を受けてしまっている気がする。実生活でも会う人ごとに、道ですれ違う人ごとに、この人はどんな人生を歩んできたのだろうとか、どんな夢があるんだろうとか、つい考えてしまうようになった。人生いろいろドラマがあるんだなあということを教えてくれる作家だと思う。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

教養としての「税法」入門 [法律]


教養としての「税法」入門

教養としての「税法」入門

  • 作者: 木山 泰嗣
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2017/07/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 国家を運営していくためには、膨大な資金が必要である。国民から税金をたくさん徴収しなければならない。

 昔のイギリスでは、国王に課税の決定権限があった。だが、自由に税金を徴収されてしまったのでは、国民もたまったものではない。きちんと国民の評議を経てもらわなければ、不安で仕方がないだろう。

 そんなわけで、13世紀のイギリスでマグナ・カルタという法典が制定されることとなった。国民の代表である議会の決定がなければ課税できないという内容だ。このマグナ・カルタの考えは、アメリカにも輸出され、独立戦争では「代表なくして課税なし」がスローガンになった。

 この考えは日本にも広まり、日本国憲法には「租税法律主義」というルールが定められ、税金を課すには、法律にきちんと明記しなければならない決まりとなった。

 ところで、課税のための要件を法律に明記するといっても、そう簡単にはいかない。とくに法律の文言の解釈が人によって割れてしまうような場合に問題が生じうる。

 たとえば、「日本に住所がある人」に課税ができるとした場合、日本に住所があるというのはどういう場合なのか? 日本と外国をしょっちゅう行ったり来たりしているような人には適用されないのか? 

 課税するための法律があったとしても、法律の解釈が割れてしまうと、争いになる。不当に税金を取られたということで税務訴訟にまで発展することも……。

 本書はこうした税金にまつわる制度について分かりやすくまとめた本である。これを読むと、税法の解釈を巡って様々な紛争が生じてきたことが見えてくる。どうやって徴税するかという国家の思惑と、いかにして租税を回避するかという国民の思惑との間の攻防だ。

 最初は仕事に役に立つのではないかと思って読み始めたのだが、読んでみたら意外と読みものとしても面白かった。
タグ:木山泰嗣
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

ダブル・スター [SF(外国)]


ダブル・スター (創元SF文庫)

ダブル・スター (創元SF文庫)

  • 作者: ロバート・A. ハインライン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1994/06/18
  • メディア: 文庫



 偽物が他人になりすまして活躍してしまう話が大好きである。

 シェイクスピアの芝居や「ゼンダ城の虜」「王子と乞食」、映画の「太陽がいっぱい」「デーヴ」など、こういう話は昔からたくさんある。

 騙される周囲の人間の騒動だったり、いつばれるかというハラハラドキドキが楽しい。お約束の展開だと分かっていても、つい笑ってしまう。

 ときには、偽物なのに思わぬ成功をしてしまったりして、意外な活躍をしてしまうところも見どころだろう。

 ロバート・A・ハインラインの「ダブル・スター」というSF小説は、まさにそんな偽物が他人になりすます話だった。

 売れない俳優のロレンゾは、バーで知り合った男からある仕事を持ちかけられる。俳優としての技量を見込まれての仕事だったが、舞台や映画の役ではない。ロレンゾにそっくりの政治家の替え玉になるという仕事だった。

 半ば強制される形でその仕事を引き受けることになったロレンゾは、地球の運命を背負って、一世一代の大芝居を見せることになる。

 ハインラインなのだが、SF要素は少な目。むしろ、政治劇の側面が強い作品だ。

 最初は嫌々ながら引き受けた仕事だったのに、政治家の人生に興味を持ち始め、主人公がだんだんと政治に目覚めていくという展開がいい。単に俳優としての仕事をこなすというだけでなく、徐々に人間としても成長して、大政治家のようになっていく。この辺りの主人公の変貌ぶりを見るのも楽しかった。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

龍馬史 [伝記(日本)]


龍馬史 (文春文庫)

龍馬史 (文春文庫)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: 文庫



 明治維新のきっかけとなった原因のひとつに、蚕の病気があったそうだ。

 蚕の病気が流行して、世界的に生糸がとりにくくなった。だが、日本では安価で良質な生糸の生産が続けられていたため、イギリスはこれに目をつけ、日本との貿易を行おうとした。

 イギリスは植民地である香港に本社を置くジャーディン・マセソン商会を通じて、生糸の貿易を買いつけるようになる。生糸を買いつけるだけでなく、薩摩や長州に武器や軍艦を輸出し始める。この武器が薩摩・長州が戊辰戦争で旧幕府軍を倒す際の力となる。

 イギリスとしても、江戸幕府が続くよりも、薩長を軸にした新たな政権が生まれてくれたほうが、自由に貿易ができて、生糸も手に入れやすい。だから、せっせと武器を売り込んでいったのだろう。

 坂本龍馬もこうしたイギリスの貿易に深く関わっていた。龍馬の率いていた商社「亀山社中」は、武器の売買と運搬が主要な業務だったからだ。

 磯田道史の「龍馬史」という本を読むと、この辺りのことが詳しく書かれている。龍馬の活躍や明治維新の流れというのも、イギリスとの関係が非常に重要だったことが分かる。

 坂本龍馬も薩長同盟の仲介人として有名だが、それだけでなく、商売人としての側面が結構強かったことが分かって意外だった。実はこの軍艦や武器の商売と、独自の海軍の増強が、明治維新において龍馬の果たした役割として最も大きかったということも。

 龍馬の生き方を通して、明治維新の流れが見えてくるというしかけの本。今まで知らなかったような背景が見えてきて興味深かった。
タグ:磯田道史
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

変種第二号 [SF(外国)]


変種第二号 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-24)

変種第二号 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-24)

  • 作者: フィリップ・K・ディック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: 文庫



 人工知能やらロボットの開発が目覚ましいけれど、これからは戦争もロボットが担うことになるのだろう。ドローンだけでなく、地上戦でもロボット兵器が人間の代わりに戦うようになる。

 もし、そんなロボット兵器が暴走を始めて、ひたすら人間を殺戮し始めたらと思うとぞっとする。ロボットには感情も何もない。単にプログラムされた指令に従うだけ。目の前に現れた人間を、機械的に殺していく。そんな悪夢のようなシナリオがやってくる可能性もあるのだ。

 敵味方や戦闘エリアを特定するプログラムが与えられるのかもしれない。だが、エラーが生じて敵味方関係なく民間人まで襲い始めたら? もっと技術が発展して、機械が自動的に複製を始めたら? そうなったら人間にはもはや制御不能。ロボットと人間のどちらかが生き残るまで、果てしない戦いを強いられることになる。

 フィリップ・K・ディックは「変種第二号」「ジョンの世界」「奉仕するもの」といった短編で、まさにこうしたロボットとの戦争をテーマに扱っている。

 ディックの小説は、ほとんどホラーといってもいいような怖さがある。ロボットが襲ってくるというだけでも怖いのに、進化を遂げて人間そっくりの外見のものまで誕生する。人間そっくりだから、知らない間に人間社会に入り込んで、内側から攻撃を仕掛けてくる。

 次第に人間同士の間で疑心暗鬼になる。誰が敵で誰が味方なのか分からなくなってしまう。お互いにロボットなんじゃないかという恐怖にかられて殺し合うようにもなる。人間社会が内側から崩壊していくという悪夢のような世界だ。

 ディックが予言していることの中で興味深かったのは、ロボットは次第にロボット同士で戦争を始めるのではないかということ。いつの間にか世界はロボット同士の戦いに覆われ、人間は蚊帳の外に置かれることに。こうなるともう何が何だか分からない。いったい何のために戦争を始めたのやら。

 短編集『変種第二号』にはこうしたロボットもののほか、タイムスリップもの(「たそがれの朝食」)、ミュータントもの(「ゴールデン・マン」)、ファンタジーもの(「安定社会」)、宇宙もの(「火星潜入」)などバラエティに富んだ作品が収められている。こういう作品も書いているのかと、ディックの幅広い世界観を味わうことができて面白かった。
nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:

東芝解体/電機メーカーが消える日 [ビジネス]


東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

  • 作者: 大西 康之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 新書



 大企業というと昔は安定しているイメージがあったけれども、最近はそうでもないなあと思う。優良企業と呼ばれていた会社でも、破綻してしまうことがある。そんな例をよく目にするようになった。

 何が起こっているのだろうと常々疑問だったのだが、「東芝解体/電気メーカーが消える日」という本を読んで、少し事情が見えてきた。日本の名だたる電機メーカーの敗北の歴史が語られている本だ。

 日本の産業は電力と電話という、ふたつのシステムによって守られてきた部分があるそうだ。つまり、国民から集めた膨大な電気料金や電話料金が、東電などの電力会社やNTTなどの通信会社に集約される。この潤沢な資金は、電力ファミリー、電電ファミリーと呼ばれる企業(三菱重工、東芝、日立、NEC、富士通)に流れる。流れた資金を利用して、設備投資がなされ、研究開発やインフラ整備が進む。

 資金繰りが安定するのはいいことだが、反面、メーカーは電力会社やNTTに依存するようになり、新しいことにチャレンジしなくなる。世界の変化の流れから乗り遅れ、国際競争力を失い、「ガラパゴス化」してしまう。

 東西冷戦の時代は、アメリカも日本を反共防波堤にしたかったので、電力ファミリーと電電ファミリーのシステムに目をつぶっていたが、冷戦が終わると競争を求めるようになった。日米構造協議によって、電力自由化と通信自由化が進められる。これまで潤沢な資金を得てきた電機メーカーは、資金繰りに苦しむようになり、迷走することになる。

 このようなことが原因で起きたのが、東芝、シャープ、NECといった名だたる企業の苦境なのだ。

 日本の産業も、いつの間にやら地殻変動が始まっていることがよく分かる内容。もう大きい会社だから安心という時代ではないなあと思う。むしろ、小さくて新しい会社がイノベーティブなものを生み出したりしていて、面白かったりする。

 いろいろ崩壊していくような怖いことも書かれているけれど、自分の中では新たな時代がやってくるというワクワクが大きい。
タグ:大西康之
nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:

最高機密エージェント [世界史]


最高機密エージェント: CIAモスクワ諜報戦

最高機密エージェント: CIAモスクワ諜報戦

  • 作者: デイヴィッド・E. ホフマン
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: 単行本



 第二次世界大戦が終わって、ドイツと日本が降伏して、世界はようやく平和になるかと思ったら、全然ならなかった。

 今度は、アメリカを代表する資本主義陣営と、ソ連を代表する共産主義陣営との間で争いが生じた。米ソは直接の戦火は交えなかったものの、あちこちで代理戦争が行われた。ベトナムで、アフガンで、朝鮮半島で……。

 米ソの直接の戦争がなかったので、「冷たい戦争」などと呼ばれたが、水面下で米ソ間の諜報戦争は激しく繰り広げられていたらしい。
 
 「最高機密エージェント」は、当時のスパイ戦争の状況がよく分かる本だ。CIAがソ連のエージェントを使って、ソ連が開発しているレーダー技術や航空装備などの軍事機密を大量に入手した経緯が書かれている。

 スパイ活動がどんなふうに始まるかというと、まずはソ連国内にいる住民との接触がある。CIAのほうから働きかけるのかなと思ったら、意外とソ連の住民が自ら協力してくるケースが多かったようだ。

 ソ連の住民が協力する理由は、詰まるところ体制への反発だ。ソ連の政策によって家族が犠牲になったとか、日々の生活への不満だとか、共産主義への反感などが動機になって、スパイとして名乗り出るわけである。

 もちろん、情報交換自体が簡単なことではない。ソ連国内にはKGBの厳重な監視網があるのだ。外国人は絶えず見張られていて、おいそれと近寄れない。いかにしてKGBの目をかすめて情報をやり取りするのか、まるで手品のようなあの手この手が必要になってくる。

 定番なのは、岩と丸太。中をくりぬいた岩や丸太に小型カメラや書類をつめ、指定された場所に転がす。周りからは何の変哲もないものにしか見えない。後で受取人が回収して、情報をやり取りするというしかけ。

 別人に変装したり、キーホルダーに見せかけた小型カメラを使ったりという場面も出てくる。どう日常の風景に溶け込むか、カムフラージュするかが大事ということで、チェスタトンの小説に出てくる「見えない人」になるのがスパイの極意なのだと分かる。

 諜報活動も冷戦の時代よりも、今の時代のほうがずっと難しいだろうなと思う。そもそも、敵がどこにいるのか分からない。冷戦の時代は、西側と東側という線引きができていて、「敵」が分かりやすかったともいえる。今の時代はもはや国家同士の戦いといった単純な図式ではない。外国にミサイルを向けていればよいというものでもなくて、国内に突然テロ集団が現れたりする。

 CIAやNSAも新たなタイプの敵に対抗するために、世界中のサイバー網を利用して、ビッグ・ブラザーみたいにあらゆる市民を監視するようになってしまった。もはや誰もが諜報戦争の網の目の中にいるんじゃないかと思えるほどに。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

武士の家計簿 [日本史]


武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/04/10
  • メディア: 新書



 神田神保町の古書店で見つかった古文書。それは、加賀藩の猪山家という武士の家計簿だった。

 36年分もの長期間にわたる家計簿で、しかも、猪山家は会計の専門家である御算用者という職務についていたことから、内容も完成度の高いものだった。

 本書では、この猪山家の家計簿をひも解くことで、江戸、幕末、明治にかけて、武士の家族がどのような生活を送ってきたのかを浮かび上がらせている。

 家計簿を見ると、武士の一家の経済状況が実にリアルに伝わってくる。猪山家も御算用者として出世したが、江戸詰を命じられて出費がかさみ、生活は決して楽なものではなかったらしい。借金に首が回らなくなって、財産を売り払う目に遭ったり、ひもじい思いをしたりもしていたようだ。武士といっても、なんだか悲哀が感じられて、あくせく働く現代人に通じるものがある。

 昔は本が貴重品だったとか、借金の借り入れ先はどこかとか、武士のリアルな生活が数字ではっきり見えてくるところがめっぽう面白い。

 とくに興味深かったのは、幕末から明治にかけての生活の変遷。武士が明治になって、どんな生き方を迫られたのかに関する部分。

 明治になって、武士も家柄だけでは生きていけなくなってしまった。官吏になることができれば、生活も安定したが、狭き門だったらしい。多くの武士は、慣れない商売に手を出して失敗したり、その日暮らしをしたり、親戚に頼ったり、結構苦しい生活を迫られたようだ。

 猪山家は会計処理という特殊能力を持っていたから、明治になっても重宝がられた。この本を読むと、いつの時代でも能力を磨いていくことが大事だと分かる。一時的に組織や制度に守られていたとしても、あるきっかけで組織がなくなってしまうことがある。そんなときに困らないように、いつも組織の外の世界のことも意識して、腕を磨いていくことが重要なのだろう。

 激動の時代を生きた一族の記録。歴史の勉強になるだけでなく、生き方を考えさせられる本にもなっている。
タグ:磯田道史
nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:

イーロン・マスク/未来を創る男 [ビジネス]


イーロン・マスク 未来を創る男

イーロン・マスク 未来を創る男

  • 作者: アシュリー・バンス
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/16
  • メディア: ペーパーバック



 スペースX社のCEO、イーロン・マスクの半生をたどった本。

 スティーブ・ジョブズに並ぶイノベーターということで、どんな人物なのか気になって読んでみたら、本当にぶっ飛んでいた。

 マスクの描き出すビジョンは実に未来的だ。地下空間にチューブを張り巡らせて、カプセル型の乗り物で移動する交通システム。再利用可能なロケットの開発。火星に人類の居住可能なコロニーを作る火星移住計画。太陽光で発電し、無料で充電可能な電気自動車システムなど。

 一見すると、「こんなの夢物語なんじゃないの?」と一蹴されてしまいそうな構想だろう。実際にも、マスクがこうした計画を打ち出したときには、周囲の反応は冷ややかなものだったらしい。どうせ失敗するだろうと。

 だが、マスクの本当に凄いところは、単なる夢にとどまらず、自らのビジョンを現実世界に実現してしまうところだ。これまでにないような技術を創り上げていかなければならないし、ビジネスとして利益も出さなければいけない。次々に立ちはだかる様々な問題をクリアして、壮大な構想を形あるものにしていくところは驚異的だった。

 スペースXやテスラモーターズ、ソーラーシティなど、次々に人類の夢が実現していくところは、読んでいて爽快感がある。

 現状の技術を少し改良するというのではなく、根本的な発想から変えてしまい、これまでにないような世界観を見せてくれるところが未来的。SF小説に出てくる、未来の大企業家を地で行くような人生だ。世界を引っ張っていくのは、こういう人なんだろう。

 一方的なイーロン・マスク礼賛本というわけでもなくて、ドロドロとした社内紛争についてもたくさん書かれている。ジョブズとかと同じで、凄い人だけど強烈で怖そうな人だなあということも伝わってきた。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

マスカレード・ナイト [ミステリ(日本)]


マスカレード・ナイト

マスカレード・ナイト

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 東野圭吾のマスカレード・シリーズ。

 練馬区のマンションで若い女性が殺害される事件が起こる。犯人探しは難航していたが、そんな中、警視庁に一通の密告状が届く。それは犯人がホテル・コルテシアのカウントダウン・パーティに姿を現すとの内容だった。警察は犯人を捕まえるため、刑事をホテルマンに扮装させて調査を開始する。

 殺人事件を解決していくメインストーリーだけでなく、コンシェルジュの活躍を描いたサブストーリーも同時進行する。宿泊客たちからの無理難題をどうやって解決するのかが、コミカルに描かれている。

 東野圭吾は好きなんだけど、この作品はあまり楽しめなかったなあというのが、正直な感想。コンシェルジュってここまでするものなのかとか、いろいろやりすぎなんじゃないかとか、細かいところが気になってしまった。

 こういうお客様は神様みたいな風潮もどうなのだろう。無理な注文を何でもかんでも引き受けてしまうのが、一概にいいこととは思えない。いくらサービス料を払っているとはいえ、限度というものがあるし。悪質クレーマーがつけあがったり、ブラック企業を生み出す一因になってるんじゃないのかなあ……。 

 メインの殺人ミステリーも、解決が唐突な感じがしたし、動機もなんだかとってつけたようなもので、腑に落ちる感じじゃなかった。東野圭吾にしては、珍しく楽しめなくて残念。

 前作も楽しめなかったので、どうもこのシリーズ、自分には向いていないようだ。今度は加賀恭一郎シリーズとかもっと別のものを読んでみることにしよう。
タグ:東野圭吾
nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | -